子どもの英語学習意欲を高めた“世界とつながる喜び”
井上さゆりさんインタビュー[前編]

枝廣綾子(Ayako Edahiro)
Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー

皆様こんにちは! 認定NPO法人パンゲア理事/Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー枝廣綾子です。世界の子ども達が言葉、距離、文化の違いの壁を乗り越えて、個人的なつながりを感じることの出来る遊び場「ユニバーサル・プレイグラウンド」を構築しているパンゲアの活動。連載6回目の今回は、パンゲア参加者のお母様、フォトグラファーの井上さゆりさんインタビュー前半です。お嬢様がパンゲアに参加されたきっかけと、お母様としての思い、お嬢様に見られた変化を語っていただきました。

「英語にこだわらない」国際交流活動で
「つながった」確信と喜びが英語学習への興味に 

井上 さゆり フォトグラファープロフィール
井上さゆり(Sayuri Inoue)さん/フォトグラファー
オハイオ州立大学ジャーナリズム学部卒業後、スポーツ写真エージェンシー、ロイター通信東京支局写真部やフリーランスで写真を撮る。99年にオランダに滞在し、オランダ写真資料館(ロッテルダム)に勤務。東京のオランダ大使館報道文化部で4年間、広報として奉職し、第二子の出産を経て、フォトグラファーとしての活動を再開。
フォトラルーチェ≫

 

井上:言語と時間・空間の障壁を乗り越えて世界中の子ども達が個人的なつながりを築くための『ユニバーサル・プレイグラウンド』を創るパンゲア。世界中にネットワークが広がるパンゲアには、今春から中学1年になる娘が小5のときに1年間お世話になりました。私がパンゲアのホームページ活動の動画を娘に紹介すると、その内容を見て自分で

やってみたい

と希望したことがきっかけとなって活動に参加することに。

 

娘によれば、好きな絵を描いたり、パソコンを使ったりして外国の子ども達と交流できる点がおもしろそうだったからだそうです。

幼少期からの国際交流が私の人生に大きな影響を与えたから
娘にも有意義な活動の機会をと探していました−−

井上:私自身は、幼少の頃から国際交流プログラムがある英語の歌や劇の活動に通い、中学生の夏休みに米国でのホームステイの経験をしたことがその後の自分の人生に大きな影響を与えたので、何かそうした有意義な活動を体験する機会を娘にも与えてあげられたらいいなと探していました。

 

自分が子どもだった頃とは違い、今は数多くの英語教室や国際交流に関する活動があって迷うほどです。そんな中、出会ってすぐに「これはいい!」と思ったのがパンゲアでした。

 

良いと思ったのは、パンゲアにある

  • 英語にこだわらないコミュニケーション
  • 活動をサポートするファシリテーターのあり方

の2点です。

「英語にこだわらない」国際交流活動にこそ本質がある 

ウェブカメラでケニアとつながった!画面下には「げんごろう」による翻訳が。 お互いの主食は何か、教えあっている模様です。

▲ウェブカメラでケニアとつながった! 画面下には「ゲンゴロウ」による翻訳が。
お互いの主食は何か、教えあっている模様。

井上:まず、「英語にこだわらない」という点に驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、この点にパンゲアのプログラムが本質と普遍さがあると思っています。

 

パンゲアでは、通常のアクティビティは日本語を使い、ウェブカムで他国の子ども達と交流をするときも、独自開発した翻訳ソフト「ゲンゴロウ」の利用や、ファシリテーターの介添えによって交流します。また、世界各国のパンゲア参加者が利用できる独自のイントラネットでは、「ピクトン」という絵文字を使ってメールのやりとりをすることができます。

「世界とつながった!」という喜び 

ケニアと一緒に行うゲームの結果に喜んだり驚いたりする子どもたち。      手に持っている「ジャイアントピクトン」でウェブカメラの向こうの相手に気持を伝えます。

▲ケニアと一緒に行うゲームの結果に喜んだり驚いたりする子ども達。手に持っている「ジャイアントピクトン」でウェブカメラの向こうの相手に気持を伝えます。

ピクトンメールとウェブカムで世界とつながった!

ピクトンを使ったメールは娘の楽しみだったようで、韓国から初めてお返事をいただいたときはとても喜んでいました。

 

そして、1番楽しかったパンゲアの活動は

「ウェブカム(ウェブカメラで複数拠点をつないでゲームなどする活動)でケニアの子ども達と遊んだこと」

という答えが返ってきました。ウェブカムでは、ひとりずつマイクの前に立って質問をし合ったり、色から連想するものを描いた絵をお互いに見せ合い、同じものだったらポイントになるというゲームをしたりして交流するものでした。

“つながった実感”が英語への興味に

ケニアとのウェブカムの活動に参加した東京の子ども達。楽しかった!

▲ケニアとのウェブカムの活動に参加した東京の子ども達。楽しかった!

井上:どちらの体験も、言葉が通じない国の子ども達が相手ではあっても、娘の中には

つながることができた

という確信と喜びを残してくれたのだと思います。この手ごたえとは、国際交流における「種」のようなものなのでしょう。

 

娘はピクトンでのメールのやりとりでは物足りなくなり、

英語で質問をしてみたい

と口にするようになりました。翻訳ソフト「ゲンゴロウ」の利用は、そんな娘のニーズを手助けしてくれたようですが、英語を学んでみたいという学習意欲にもつながっていきました。

 

このように、パンゲアの活動に散りばめられた「つながる喜び」を知ることは、自発的に

もっと英語を勉強したい

という学習意欲がわく、語学学習の強い動機付けにもなるようです。パンゲアの「英語にこだわらないコミュニケーション」が、語学学習にも役立つこともお分かりいただけることでしょう。

 

枝廣綾子のインタビュー後記
英語など特定の言語や文化の優位性は排除し、世界のどの国の子でも同じ立場で出会い、伝えあい、つながれる遊び場が、パンゲアが創る「ユニバーサルプレイグラウンド」です。言語によるコミュニケーションを、絵文字ピクトンや不完全な機械翻訳「げんごろう」で遊びにして、正確さよりは伝えたい気持ちを重視します。この環境の中で子ども達が何を感じ、何に興味を持つかは自由です。井上さゆりさんのお嬢様が感じられた、隣国韓国や遠いケニアの子とつながった!という小さな嬉しさを積み重ねられる活動の場を、これからもずっと提供し続けたいと感じました。次回、インタビュー後編では、パンゲアの活動を支えるファシリテーターについてお話しいただきます。なお、このサイトで利用させていただいている私のプロフィール写真は、井上さゆりさんに撮影していただきました。また今回の記事で利用させていただいているパンゲアの活動の写真もすべて井上さゆりさんが撮影してくださいました。ありがとうございます!

 

認定NPO法人 パンゲアの日本での活動は、東京(本郷三丁目)、京都(京都大学)、三重(三重大学)にて小3~中3の参加者を対象に月に1度、土曜日午後3時間の年間プログラムを実施しています。お子様の活動参加・見学、学生や社会人の皆様のボランティア参加などの活動にご興味を持っていただけましたら、パンゲア事務局:info[アットマーク]pangaean.org([アットマーク]を@に置き替えてください)迄、メールにてお問い合わせください。

 

− 写真提供: 認定特定非営利活動法人パンゲア

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

枝廣綾子(Ayako Edahiro)
Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー

インターネットを利用して、留学しなくても世界の子ども達が出会い、伝えあい、つながることのできる遊び場、「ユニバーサルプレイグラウンド」の研究開発と運営をする認定NPO法人パンゲアの理事をしております、枝廣綾子です。パンゲアには2006年よりボランティアとして関わっており、仕事は、グローバル企業の人事です。

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