海外での病院探しは大変! イタリアの医療制度と小児科

佐々木希世(Kiyo Sasaki)
Glolea! イタリア子育て&生活エンジョイ・アンバサダー

海外での病院探しは大変…!

イタリアの医療制度

海外に住んでいると、特に心配なのが医療事情。言葉が通じない外国では、病名はおろか

ズキズキ痛い

とか

キリキリ痛む

と言った症状を伝えることすらできません。言葉の通じる病院はどこか、医療水準はどうなのか、医療費はどれくらいかかるのか。そういったことを知るのは、必須ですよね。

イタリア移住後…我が家の最優先事項は子供の病院探しでした

子供がいると医療に関する情報を得ることは、さらに重要度を増します。特に3歳以下の小さい子供は突然高熱を出したりしますし、症状を自分の言葉で表現することもできません。日本国内にいても、良い小児科医を捜すことは親にとって重要課題ですが、海外生活者にとっては何を置いても!の最優先事項と言っても過言ではありません。

 

我が家がイタリア移住を決めた時も、子供の病院探しは最初にはじめたことの一つでした。

 

幸いイタリアの医療水準は非常に高いと聞いていたので、その点については安心! ミラノに転勤で行ったことのある方を探して聞いたり、ネットで探したり、実際に引っ越してからは大家さんに聞いたり、公園で知らないお母さんに聞いてみたり…もう、本当に色々なルートで調べました。

 

そのかいあって、評判の良い小児科の候補をいくつか見つけることができました。日本であれば、とりあえず健康診断とかなんとか言って全部行っちゃえ、それで一番良さそうなところに通うことにすればいいや…などとバチ当たりなことを考えるところです。が、イタリアだと少し事情が異なるようだと保険制度を調べるうちに気がつきました。

イタリアの「ホームドクター制度」とは?

イタリアにも日本と同じく国民皆保険制度が存在し、保険に入れば医療費は無料です。ただし、イタリアには「ホームドクター制度」というものがあり、このドクターを通さなければ、日本で言うところの自由診療と見なされて保険はききません。

イタリアの国民健康保険

▲イタリアの保険証。日本と同じカードサイズです

 

ホームドクターは保険証を給付される際に、国が指定するドクターのリストから選ぶことができます。が、当然人気のあるドクターは患者を多く抱えており、指定することができなかったりします…。

 

さらに

ものもらいができた! 眼科に行きたい

と思っても、いきなり眼科に行くことはできず、まずホームドクターの診察を受けた上で紹介状を持って眼科医に行かなければ、やはり自由診療と見なされるらしいのです。

国民皆保険制度で医療費が無料のイタリアですが…色々制約があります

しかも保険がきく国の指定医はいつでも大混雑らしく、救急で運ばれたとしても数時間待たされることはザラだとか。タダより高い物はないと言ったらまたバチが当たりそうですが、なかなか制約が多いシステム…

 

うーん。と、考えた末、この時点でイタリアの国民保険に入れていなかったこともあり、チビ達は指定医ではない小児科に連れて行くことにしました。地元の方の評判が良かったこと、英語話せるドクターであること、というのが大きな理由です。

 

電話して予約を取り、診療所をたずねてみると、そこはアパートの一室。先生は品の良いオシャレなおばあちゃんといった感じで、白衣も着ていない。大丈夫かいな…と思いつつ勧められた椅子に腰掛けると、小さなノートを2冊だして、それぞれに子供達の名前を書くと

さて、ちょっと聞かせてね

と言うなり質問攻め!

イタリアのドクターも日本の母子手帳に感心!

生まれた時の体重から、既往症、病歴、予防注射のこと、20分はたっぷり質問攻めにされました。そして、持って行った母子手帳の何と役に立ったことか! もちろんドクターは日本語を読めるわけではありませんが、大体は見て分かるらしく

これ、いいわね

と、一言。日本のシステムに感謝です。

イタリアのカルテノート

▲カルテ代わりのノート。これを渡されて、行く際には患者が持参するシステム。面白い先生でした。

 

ドクターによると、イタリアでは日本のように自治体から予防注射や健康診断のお知らせがあるわけではないようで、うちのチビ達のような小さい子供達は親が定期的にドクターに診せに行くというのが、普通のようでした。

 

ただ

予防注射はほとんど済んでいるから、大丈夫。とっても健康に成長してるわね。
マンマ、ブラバ!(ブラボー)

とお褒めの言葉まで出た! 
イタリアに来る前に定期予防接種を済まさねば! と行った小児科通いが報われた瞬間でしたよ…

 

その後、身体測定をしたり、お腹をさわったり、頭を触って上のチビにアタマジラミを見つけたり(涙)しながら、一通り診察。そして今後病気になった時の治療方針を話し合って、診察は終了しました。もちろんドクターによるとは思うものの、基本的なイタリアの医療水準に一安心した訪問でした。

 

残念ながらミラノからは出て来てしまったので、またフィレンツェでも新たに小児科探しが始まります。けれどミラノでの経験を経て、以前ほど神経質になっていないことは確かです。

 

というより、お医者さんにかからずとも済むように、おいしいものを一杯食べて、外遊びをいっぱいして、たくましくなってくれよー! と思うハハでした。

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

佐々木希世(Kiyo Sasaki)
Glolea! イタリア子育て&生活エンジョイ・アンバサダー
ミラノ

14年8月に、イタリアはミラノに居を移す。2人の子供達を追いかけ回しながら、日本とは違う時間の流れの中でのイタリア生活を満喫中。学生時代の専門だった美術をはじめ、食事・お酒を愛する身には最高の住環境! 子育て周りをはじめ、そんなところもご紹介したいと思っています。著書『「半径5メートル最適化」仕事術 おしゃべりな職場は生産性が高い』好評発売中!

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