【レポ】自然生活のスキルを育みながらリーダーシップ教育も行う!米国発NPO「Ancestral Knowledge」のキッズ向けプログラム

春名聡子(Akiko Haruna)
Glolea! 国境を越えたホリスティックな学びのアンバサダー

こんにちは。国境を越えたホリスティックな学びのアンバサダーの春名聡子です。

 

今回は、前回の連載記事に引き続き、私がボランティアをしている、子ども達に自然生活のスキルを教えるAncestral Knowledge(以下AK)のプログラムの様子をレポートします。

子ども達に自然生活のスキルを教えるAncestral Knowledge(以下AK)のプログラム

▲8歳にして弓を堂々と射る女の子の貫禄。アーチェリーと違い、大人でも相当な筋力を要する原始の弓矢を射る彼女は都会育ち。

DC近郊の森で開催されるデイキャンプの参加者は、多民族社会アメリカらしく、ヒンドゥー・ロシア語・中国語など、第二外国語を普段から話す子ども達が多数

 

ムスリム・ヒンドゥー・クリスチャンと宗教バックグラウンドも多様な子ども達が、分け隔てなく一緒に遊びます。

 

子ども達の親御さんは

  • 自然との繋がりを持った子どもに育ってほしい
  • 先住民の知恵を子どもに学んでほしい
  • 自立した子どもになってほしい

…等の思いから、普通の学校では習えないスキルが身につくAKのプログラムに子どもを参加させている模様。

自然を通じて、自立心の高い子どもを育てる!

AKで自然生活のスキルを学んでいる子ども達に共通して見られるのが、自立心と自尊心の高さ。火の付け方・ナイフの使い方・ロープワークなどにしても、上手くいかずに困っている時に声をかけても

自分でやってみるから手伝わないで

と言われること、多々。

 

リーダーシップ教育も兼ねるこのプログラムでは、年長が年少をサポートし見守りながら、試行錯誤で自分達なりの方法を発見していきます。

子ども達に自然生活のスキルを教えるAncestral Knowledge(以下AK)のプログラム

▲木の枝・リール・鈎だけのシンプルな道具で、池から魚を釣り上げてしまう 。

静寂の中で瞑想し、地に足のついた子どもを育てる!

AKのプログラムでは、小学校学齢の子ども達に、自然の中で1人瞑想をし、自然と深く繋がることを教えています

 

子ども達は各自森の中に散らばり、独り森の中に座って、静かに木ずれの音、鳥の声に耳を傾けます。自然の中に溶け込むうちに、鹿や兎などの動物が目の前を通りすがることも。そうして、一人一人が、静寂を通じて、自然との特別なつながりを築いていきます。

 

これは、普段の都会生活で、TVやiPadなどからの刺激でADHDの傾向が出ているなど、集中力が持てず落ち着きのない子ども達を地に足つかせるには、最適のアクティビティ。

 

森の中でこのような時間を過ごした後の子ども達が、とてもリラックスして見えるのは、気のせいではないでしょう。

自然の要素に魅了される子ども達

自然の中でも、何と言っても子ども達は、火が大好き

 

秋に開催したキャンプでも、星々が空に瞬き、そろそろ就寝の時間となったところで

各々持参したテントの中で1人寝るよりも、 みんなで暖かい火の周りで寝た方が楽しいかも!

という事になりました。

 

とはいえ、親から離れての初めての森での夜に加え、テントを離れて野外で寝るのは、全員、今回が生まれて初めて。クマに食べられるのでは、凍えて死ぬのでは、と怯えつつも、好奇心に惹かれて寝袋に潜り込み、薪のはじける音を聴き、火に暖められながら眠りに就きました

子ども達に自然生活のスキルを教えるAncestral Knowledge(以下AK)のプログラム

▲子ども達が起こした火は、夜更けまで暖房の役割を果たします。

 

朝、暖かい炭になった薪の横で目を覚ました子ども達は

今度のキャンプでもまた絶対火の横で寝ようっと!

と、自信を付けていました。

子どもに、リスクを取らせる!

AKのスタッフは

危ないからxxするな

そこは行くな

といった指示は極力押さえ、ギリギリのところまで子どもに冒険させる自由を与えます。

Don’t do…

という指示は、子どもの安全を守る意図ではありながらも、同時に子どもに恐怖心を植え付けがちだからです。

 

リスクを取るアプローチは、訴訟社会アメリカで、親からの訴訟を恐れてリスクを極力避けるという、アメリカでよくある教育のアプローチと比べると、大きく異なるところ

 

危険やリスクに向き合い、乗り越えて行く事で成長することができない。また、危険やリスクを常に避けるアプローチでは、自然の素晴しさを体で経験する事は難しいからです

 

自然を“資源”“環境”としてではなく、自分の生活の一部・自分自身の一部と捉える子ども達が育って行く事が、環境問題が深刻化する一方の世界の行方に、どれだけのポジティブな影響を生み出すでしょうか。

 

私自身、環境科学・環境経済学を大学院で専攻し、仕事としてきました。が、子ども達が自然の素晴らしさを感じて、自然に“Fall In Love”する事が、知能で環境問題の脅威を理解するよりも、後々の人生と仕事の選択に、ポジティブな影響を与えると思っています。

 

AKの野外プログラムは、氷点下以下となる1−3月にも元気に続いていきます。年末、寒い中でも、野外に子ども達と足を伸ばして、冬の自然の美しさをぜひ体で感じてみてくださいね!

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

春名聡子(Akiko Haruna)
Glolea! 国境を越えたホリスティックな学びのアンバサダー
ワシントンDC

2008−16年まで北米在住。2015−16年北米ワシントンDCで夏のホリスティックな親子留学プログラム「グローバルコンシャス」を主宰。北米・中米・アフリカなど各地の自然に足を運んだ経験を活かし、現在、人と自然をつなげるジャーニー・ワークショップのプログラムForest Beats -森の鼓動-を運営。

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