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藤岡聡子(Satoko Fujioka)
Glolea! 親の学び直し探求アンバサダー

「親の思考が出会う場」KURASOU.代表。1985年生まれ、徳島生まれ三重育ち。11歳で父親を亡くし片親の元に育つ。夜間定時制高校出身。自身の経験から、「学び直し」「生きて老いる本質」をキーワードに、ライフワークとして親の学び場を運営。森のようちえんとホスピスをつくることが夢。

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お金の心配なし…月額約24万円が支給される!?デンマークの生涯学習&子育て哲学

学び直しは人生にとって必要。やり直しができる国「デンマーク」

Glolea!親の学び直し探求アンバサダー藤岡聡子です。夫・子ども(3歳半/0歳3ヶ月)と共にデンマークに渡り、1週間にわたるプチ親子留学にて、デンマークの学び直しの場「フォルケホイスコーレ」及び、デンマークの中でも歴史ある「森のようちえん」へ訪問してきました。

 

今回は、デンマーク親子留学中に行った取材より『学び、やり直すことができる国デンマーク』はどのようにして成り立っているのかについてフォーカスしお伝えしていきます。

大人になって「やり直す」のは日本では勇気がいるものですが…

何かを「やり直す」にはとても勇気がいります。

 

今までの経験や居場所をリセットすることはたやすいことではありません。夜間定時制高校に通っていた私は、祖父と同い年のクラスメイトを始め、何歳からでも学び直す大人の姿を間近にみてきましたが、日本には学び直す大人や学び直しを推進している教育施設は少ないかもしれません。

▲デンマークの民衆のための大学「フォルケホイスコーレ」の食堂では様々な国籍、バックグラウンド、年齢の方々が集い共に食事をとります。

▲デンマークの民衆のための大学「フォルケホイスコーレ」の食堂では様々な国籍、バックグラウンド、年齢の方々が集い共に食事をとります。

教育は全ての国民が関わるものと考えられ
生涯学習を重んじるデンマーク

生涯学習は経済成長とは別のもの、それ以上のものであり、だからこそすべての国民が関わるものとすべきである
From 1995 年北欧共同提言報告書「草むらに隠れた財産:すべての人のための生涯学習」

日本でいうと江戸末期から明治初頭にあたる19世紀半ばより「市民の自発的な学び」を重視してきたデンマーク。

 

デンマーク国民の父といわれているN.F.S.グルントヴィ (1783-1872)は、当時当たり前だった外国語による(ラテン語・ドイツ語)暗記中心の学問を批判し、母国語であるデンマーク語による対話を通じて、生活に必要な社会理解や民主主義の原則を学ぶ必要性を提唱。

 

農閑期を利用して青年と教員たちがともに生活しながら学ぶ学校「フォルケホイスコーレ」を設立しました。現在、フォルケホイスコーレはデンマークで約70校あり、ハンディキャップ向け、シニア向けなどもあります。

 

また、いったん教育課程を修了し就業した後も、教育訓練を通じ、働きながらも学び続ける環境を国をあげて整備しています。

月額約24万円も!
社会人でも学び続ける環境を財政面からも支援するデンマーク

社会人でありながら専門学校等で学ぶ場合は、所得補償である生活支援金(SVU)制度があります。日本では職業訓練受講給付金に当たる制度です。

 

日本は月額で約10万円の支給ですが、デンマークでは月額約24万円程度が支給されます。
※週に 3,830デンマーククローネ(日本円にして約7万円)を元に月額に算出。2010 年課税前の額。

 

小学校から大学まで教育費用はかかりませんので、学びたいと思う国民は、生活費の心配をせず安心して勉強、キャリアアップに専念することができます。

国の決め事はマジョリティ(大多数)ではなく、
若者、ハンディーキャップ、高齢者…マイノリティ(少数)に焦点をあてるデンマーク

Danish Youth Councilでのミートアップの様子

▲Danish Youth Councilにて。10代がいかに政治に参画する構造になっているかを説明してもらっています。

デンマークは地方分権であり、地方自治体に裁量が委ねられています。様々な立場の意見が、国・自治体に反映される仕組みがあり、各々が社会と常に接点を持ちながら生活しています。

 

10代の若者:
2013年に行われた市議会議員選挙の10代の投票率は、71%でした。(Danish Youth Council調べ。投票権を得るのは18歳。現在16歳への引き下げも検討されている)

 

1920年に設立された若者の政治参画を目的とした第三者機関 Danish Youth Council では、国中の10代を対象に、政治への関心を高める取り組みを行なっています。機関による定期的な意識調査結果は国へ提出され、各党の政策などに大きな影響力を持ちます。

 

ハンディキャップ:
デンマークの福祉制度を支えている生活支援法(1998年改正)において、労働・建築省から教育省などの政府の主要官庁の最終意志決定の場において、ハンディキャップ組織に対し、諮問(意見を尋ね求める)が義務付けられています。

 

国の決めごとを、マジョリティ(大多数)に合わせるのではなく、マイノリティ(少数)に焦点をあてて決めていこう、という法律に変わったのです。

 

高齢者:
一方、地方自治体には市議会に対して助言や提言をする立場の機関、高齢者委員会制度が導入されています。(1997年法制化)。ハンディキャップと同様、市議会は高齢者に関する政策を決議する際、それに先立って高齢者委員会に諮問しなければならないと法律上義務付けられています。

意見を持つことが重視されるデンマークの子育て

デンマーク最年少の絵本作家の本「Kik-kik」を差し出すJetteさん。デンマークでも歴史のある「森のようちえん」出身の男児の作品

▲デンマーク最年少の絵本作家の本「Kik-kik」を差し出すJetteさん。デンマークでも歴史のある「森のようちえん」出身の男児の作品

デンマークでは意志を持つことが最も必要だと考えられています。では意志を持つために、子ども達はどのように育っていくのでしょうか

子どもは本当にユニークな“人”だと思います。

デンマークでも歴史ある森のようちえんの1つを訪ねた際、園長から開口一番に出てきた言葉です。

 

教育の基本は

  • 子どもと教育者は対等な立場である姿勢
  • 子が他者を尊重することを覚えること

だといいます。

 

教育者が園で実践していることは非常にシンプル。

 

べったり側に居すぎず、

  • 子どもを注意深く観察する
  • 本人の話を最後まで聞く
  • 問いかける

ことの3つ。

 

あとは自然観察を基本とした遊びを行なうそうです。

 

ある程度の時間割りはありますが、あくまで個々の好きな遊びを制限することのないようにすることも、日本とは違う部分かもしれません。

まとめ

意志を持つことをサポートし、その上で互いに尊重しあう姿勢を育む幼児教育の理念。

 

年齢もハンディキャップも関係なく、対等に扱われる社会の仕組み。

 

高額の税金を納める代わりに、学び、やり直していく個人を国・自治体が所得補填で支援しながら育てていく姿勢を持っている国・デンマーク。

 

理想的なシステムが実際に動いている現実に、驚きを隠せませんでした。

 

次回の連載記事では、実際のフォルケホイスコーレ、森のようちえんの様子を詳しくレポートしながら、より深くデンマークの学びについて深めていきたいと思います。


【参照資料】
デンマークにおけるICTの活用による生涯学習支援
デンマークにおける障害者の「自立」の考え方−政治と倫理(片岡  豊)
デンマークの社会保障を支える ユーザー・デモクラシー(眞鍋 彰啓)

 

更新日: