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[後編]「親子留学」は自分の子育てのあり方を見直してみるいい機会

小野寺 愛さん(Ai Onodera)
「ピースボート子どもの家」代表
小野寺 愛さん(Ai Onodera)
国際交流NGOピースボート洋上のモンテッソーリ保育園「ピースボート子どもの家」代表。「平和は子どもからはじまる」を合言葉に、講演活動や地域での親子イベントを企画・運営。共著に「紛争、貧困、環境破壊をなくすために世界の子どもたちが語った20のヒント」(合同出版)ほか。2児の母。「Glolea! 子どもと一緒に地球一周アンバサダー」としても連載更新中。

地球の「いま」の姿にふれ、世界中の人々と交流しながら世界一周の船旅をコーディネートするNGO「ピースボート」。親子で世界を体感したいという声に応えて生まれた、洋上のモンテッソーリ保育園「ピースボート子どもの家」の代表であり、ご自身も3児のママである小野寺愛さん。後編では、これからの日本と子どもたち、世界の未来に期待することについてお話をお伺いいたしました。

≫[前編]先入観や差別心のない子ども時代にこそ世界を見て欲しい

≫[中編]幼少期に世界を体験することにこそ大きな意味がある

自身のお子さんたちとも2年に一度、ピースボートで世界を旅する小野寺愛さん。 自分のお子さんとの体験で印象に残っていることはありますか?

ピースボートこどもの家 難民キャンプでの交流

▲難民キャンプでの交流。帰り際2歳の子がいった言葉
「おねえちゃん、やさしかったね。またこようね」が印象的でした。

長女が4歳の時、旅から戻って「どこの国が一番楽しかった?」と聞いたら「ヨルダン」と答えたんです。ヨルダンでは、死海とパレスチナの難民キャンプを訪れました。難民キャンプは、連れて行きたい場所ではありましたが、内心では「大丈夫かな?」と不安でもありました。

 

でも、実際行ってみると大歓迎で、子どもたちはたくさんのハグで迎えられました。「なんでヨルダンが一番楽しかったの?」と聞くと、娘は「おばちゃんが優しかった。おやつがおいしかった。音楽が不思議だった」と答えました。

 

実際の中東を体験したことがない大人がメディアから得る中東のイメージは、残念ながら「紛争」や「テロ」のようなネガティブなイメージですよね。一方で、実際に体験した娘の中東のイメージは「ハグしてくれた優しいおばちゃんと、デイツの甘い香りと、コーランの響き」だったんです。なんだか、私自身がすごい感動しちゃって。

なんの偏見もない子どもの目に映る世界を一緒に体験することで、親御さんの感動や発見も多そうですね。

ピースボートこどもの家 船内生活

▲本当の豊かさを体験。
親子で地球一周──きっと一生忘れられない想い出になります。

ピースボートのプログラムに参加して、誰が一番成長するって、実は親なんです。日本で暮らす当たり前の日常生活でも、たとえば公園でみつけたアリの動きひとつとっても、子どもは常に感動しています。親はそこに共感できても、感動の共有まではなかなかできない。でも、世界が相手になると、親も子どもと一緒になって「わあっ!」って感動できるんです。その上、親のほうは感動していても何もできないような場面で、子どもたちは一歩踏み出して、友だちを作っていく。親子で感動を共有する体験、それに子どもの力を目の当たりにし、子どもの力を信じられるようになること、とても大事なことだと思います。

 

また、洋上のモンテッソーリ保育園には、「あぶないから先生がやるね」はありません。ご家庭では、危ないからという理由で子どもから取り上げてしまうようなことも、子どもサイズの本物の道具と、子どもに適した環境設定があれば大丈夫だったりします。子どものために整えられた環境でどうやったら危なくないかを子ども自身に考えさせて、できる部分から任せていくことを繰り返します。

ピースボートこどもの家 子どもサイズの道具を準備しています

▲包丁さばきだって自分サイズのものがあればお手のものです!

たとえば、3歳の子どもだって包丁を使って果物を切り、自分やお友達のおやつを準備するんです。誰かがお茶をこぼしても「いーけないんだ、いけないんだ♩」ではなく、みんな我先にと雑巾を絞りに向かいます(笑)。

 

保育報告で園での様子を伝えると「こんなにできるものなんですね」と親御さんはみなさん驚かれます。できないんじゃなくて、できる環境がなかっただけだとわかるんです。すると、帰国してから、おうちの環境を子どもが生きやすいように見直す方も大勢います。環境を変えると子どもは応えます。そうやって成長するんです。

異文化体験で子どもの力を信じられるようになると親子関係にまで変化があるんですね。

ピースボートこどもの家 失敗は友達

▲失敗した時に子どもを叱るより
「こぼれたらこうして拭けばいいんだよ」と、
後始末の手順をみせてあげる方がずっと大事です。

愛情がある人ほど、子どもが描いた絵をめちゃくちゃ褒めた上で、「でも、もうちょっとこうしたら、もっといいんじゃない?」なんて、手や口を出しがちです。それが、子どもを信頼できるようになると、できあがった作品を「褒める」のではなく、それに取り組んでいた子どもの存りかたを「認める」ことができるようになる。親子関係が平和になるんです。何よりのことだと思います。

 

「ピースボート子どもの家」に限らず、幼少期お子さんと共に世界で学ぶ未就学児との「親子留学」の経験は、お母様・お父様にとって、お子様が小学校にあがる前に、ご自身の子育てのあり方を見直してみるいい機会かもしれません。

 

また、洋上では家事や仕事から解放され、子どもと向き合う時間がちゃんと取れます。大人中心すぎた日々の回し方が変わる。「子どものおおらかさ」と「親が子どもを信じる力」が育つのは、船旅特有ののんびりとした時間も関係しているのだと思います。