洋上の保育園「ピースボート子どもの家」ってどんなところ? 【環境編】

小野寺愛(Ai Onodera)
Glolea! 子どもと一緒に地球一周アンバサダー

「ピースボート子どもの家」はその名のとおり、船の中にある子どものための「家」。主役は子どもたちです。そこは大人の助けを借りずに自分で生活できるようにたくさんの配慮がされています。特に1歳児の子どもたちにとっては今、「自分」をつくっている真っ最中。「自分でする!」という意欲満々な時期。子どもの家には「自立」ができるような工夫もたくさんあります。今回はその工夫や配慮のいくつかをご紹介したいと思います。

 

「子どもの家」があるキッズルームは賑やかな船内では珍しく、とても静かな子どもだけの居場所。ドアを開けると部屋の中には小さな家具がたくさん置かれています。

まず目につくのは高さのとても低いベンチ。これは1歳児の子どものための椅子。船の大工さんにお願いして作ってもらいました。この椅子ができるまで、3歳児用の高い椅子を使っていましたが、なんだかフラフラして落ち着きません。低いベンチがやってきてから不思議なくらい1歳の子どもたちがじっと座ってお仕事をするようになりました。

 

※ モンテッソーリ教育では教材を使って活動することを「仕事をする」といいます。詳しくはブログ「子どもの家オープン!お仕事編」をご覧下さい

 

玄関に置いてあるベンチは靴をはくためと着替えるためのもの。場所もとても重要で、「いつもと同じ」が大好きな3歳までの子どもたちにとって、「この場所にいけばいつも靴をはく」というふうに同じことをすることは幼い子どもにとってとても安心感につながっていきます。また大人がいちいち「靴をはきましょう」「着替えましょう」と言わなくても子どもたちは自らするようになります。1歳児のヒナミくんとアンちゃんは朝の身支度はもうすっかり身についていて、自分で靴を持ってきてベンチに座ってはき、タオルをいつもの決まった場所に置くことができるようになりました。

オムツを交換するときも、誘うとここに自分から座ります。このベンチ(スツールや踏み台でも代用可)は家庭にもオススメ。玄関やトイレの近くに置いてあげると靴を履いたり着替えたりすることがスムーズにできるようになります。

 

部屋の一番奥には寝るスペースとして畳を1畳分置いています。

ここは遊んでいる間に眠くなったときいつでも寝ることができる場所です。アンちゃん、ヒナミくんはときどきこのスペースで眠りに落ちています。こんなふうに、着替える場所、遊ぶ場所、寝る場所を明確に決めると子どもたちの導線がスムーズになり、大人の指示がなくても動けるようになります。

 

玄関を通って部屋の中に入ると、壁一面と中央に置かれた「棚」が目に飛び込んできます。棚には様々な教材が並んでいますが、一つの棚に置いてある教材は一つか二つ、長い棚には三つか四つです。

スペースはあってもたくさん並べることはありません。子どもが興味のある教材を棚から取ると自然と空間が空きます。子どもの家のルールはお片づけをしてから次の活動をすること。活動が終わればまた元の場所に戻しますが、空間が空いていればどこに片付けたらいいのかすぐにわかります。ヒナミくんとアンちゃんは最初はお片づけがなかなかできませんでしたが、今はできるようになりました。時々忘れるときもありますが知らせるとすぐに教材を運びます。棚の空いているところに戻すだけなのでとても簡単です。いったん身に付けば大人がいちいち「片付けましょう」と言わなくてもいいのです。

 

こんなふうに「子どもの家」では大人の援助が最小限になるような配慮があちこちに散りばめられています。子どもは一人でできるようになると自分に自信を持ち、前向きに生き生きと過ごすようになります。

 

今回はちょっと硬いレポートになりましたが、「自立」についてまたお伝えできる機会があればレポートしたいと思います。

[記事提供元:ピースボート子どもの家

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

小野寺愛(Ai Onodera)
Glolea! 子どもと一緒に地球一周アンバサダー
ピースボート子どもの家

船上のモンテッソーリ保育園「ピースボート 子どもの家」代表。 地球を9周する中で出会ったテーマ、子ども・地域・持続可能な社会作りを中心に、国内外でイベントをプロデュース。著書に『紛争、貧困、環境破壊をなくすために世界の子どもたちが語った20のヒント』 、インタビュー本に「おうちでできるモンテッソーリの子育て」(クレヨンハウス)など。波乗り、船乗り、二児の母。神奈川県逗子市在住。

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