自宅待機命令発動中の米国カリフォルニア州…我が家のホームスクーリング生活の様子
[世界のコロナ休校対策&オンライン学習事情]
- 安立淳子(Atsuko Adachi)
- Glolea! サンノゼ学齢期・年の差子育てアンバサダー
世界中でパンデミックを起こしている新型コロナウイルス(COVID-19)。
現在、私たち親子は夫の海外駐在に伴い米国カリフォルニア州で暮らしておりますが、こちらでは、これ以上の拡散をなるべく防ぐための緊急命令として、先月の3月19日、カリフォルニア州のニュウサム知事により自宅待機命令(Stay at home order/ステイアットホーム命令)発動され、子ども達はホームスクーリング生活を送っています。
今回は、自宅待機命令発動中の米国カリフォルニア州から、ホームスクーリング生活の様子をお届けします。
目次
カリフォリニア州サンノゼでは年度末までの休校が決定
夫は自宅勤務となり、子ども達は学校での学びから自宅での学びに変わって約6週間。
私たちの住むサンノゼでは年度末までの休校※が決まっており、4月27日には5月末までの自宅待機命令の延長も決定しました。
※学校によってそれぞれ休校終了日が若干異なります。
この期間、様々なメディアを通して世界中のお母さんたちが直面してきた子ども達の教育に対する思いや悩み、葛藤を私も知るところとなりました。
そして、お母さんたちの悩みはそれぞれ共感できるものであり、かつ、同じように悩む私にとっても救いになるものでもありました。
世界の子育てについて、ここに寄稿させていただいている私にとって、皆さまにどんな経験をお届けできるのか、とても迷いましたが、今回はコロナ禍に揺れる事態になり、私自身にどんな葛藤や気づきがあったのかを、今回は皆さまと共有しながらこれからも引き続き続く自宅学習への取り組みについて、何か一つでもヒントになればと思い、今回は小学校4年生になる娘のホームスクーリング生活について執筆させていただきます。
ホームスクーリング生活開始後…最初の2週間の焦り
自宅学習が始まった当初は、私自身、焦りばかりがつのっていた2週間でした。
アメリカでの生活が始まって1年と10ヶ月。
ようやく英語環境にも慣れ、英語力も一気についてきた子ども達の学力をどうやって維持していくか、また、駐在員として渡米している夫に帯同する家族として常に帰国後の日本の教育のことも頭にあるため、日本の勉強をどうやってフォローしていくか、やることが山積みな気がして頭の整理が全くできていない状態でした。
学校は
オンラインでの授業を進めていく
と言いつつも双方向でのやり取りは始まらず、ひたすら与えられた膨大な課題をこなす毎日。
日本では春休みに入っていたので、3年生の勉強についてはひとまず区切りがついていたものの4年生の学習に向けて、教科書が届く目処もない中、教材を提供してくれるサイトから課題をプリントしては娘にやらせる日々が続きました。
そんな中、まず音を上げたのは娘です。
お友達との直接的な交流もない中、ひたすら課題をこなす日々にストレスを溜め、癇癪や苛立ちが目立つようになりました。
2週間目も終わりに近づく頃、大泣きをして
もういやだ!
と叫んだ娘をみて、私は初めてハッと我にかえりました。
週末に夫と話し合い、先生にも相談をして決めたこととは?
ああ、これは私が悪かった。
ただでさえ世の中が不安で自分自身も不安でいる中、不安を解消するためにだけ娘に勉強を課した自分を猛省しました。
そして、もう一度現地校からの課題をしっかり見直し、今の娘にとって何が必要で何が必要でないかを親の目線でチェックしました。
そして、おそらく先生はやるべきこと、なのではなく、やったらためになることをリストにして毎週送ってくれているんだろうと初めて先生の意図を理解したのです。
アメリカの教育機関の約1/2が使用する学習記録アプリ「Seesaw(シーソー)」で学校からの課題を確認
米国の学校の約半数で使われている「Seesaw(シーソー)※」という学習記録アプリがあります。
この、Seesawを使って、まずは
- 今の娘に必要だと考えているもの
- また今の娘にとっては負荷でしかないものはやらなくてもいいか
を確認しました。
※Seesaw(シーソー):現在、アメリカの10万件の教室(約1/2の学校)でタブレット端末にダウンロードされている学習記録アプリ「Seesaw(シーソー)」が利用されており、先生と生徒が宿題や課題を提出・確認・振り返り・連絡やり取りに活用されています。
Web会議ツール「Zoom」を活用した少人数オンライン・クラスの開催が決定
その後、校長先生にメールを送りました。
今保留になっているELDプログラム(英語を第二外国語として学んでいる子ども達をサポートする英語の授業)を双方向でやり取りできる形で再開して欲しい
ということ。
また、
できれば少人数で複数回行って欲しい
ということをお願いしました。
担任の先生からも校長先生からもすぐに返信が返ってきました。
お二人とも私の考えを尊重してくださった上に、校長先生もすぐにELDプログラムの再開に向けて動いてくださり、4週間目にはZoomを活用した3人1グループのクラスを週に二回開催していただけるようになりました。
また夫とも子ども達の勉強時間について話し合い、ホームスクーリングをしている知り合いからお伺いした
小学生が自宅学習をする場合の学習時間は1〜2時間で実は十分だ
と言う意見を踏まえて、1日を通して2時間、きちんと課題に集中できていれば4年生の家での学習時間としては十分ではないかと2人で結論を出しました。
娘と話し合って決めたこと
親としての腹が決まると、次に娘と息子に「おうち学校」のルールと仕組みを伝えることにしました。といってもルールは3つだけです。
- 本来学校に行っている時間(8:10-14:50)にはテレビは見ない。
- 学校からもらった課題リストから私が取捨選択してオリジナル課題リストを作成、娘はリストを自分で管理し、本来学校に行っている時間内に課題を終えること。
- 本はいつでもどれだけでも読んでよい。
実際のところ、課題の量は2時間では終わらないのですが、親側が2時間集中できれば十分だと考えるようになったので、できない日があったとしても
今日はやめておこうか
と言えるようになりました。
不機嫌にならずに課題を終了 & 家族の時間も楽しめるように!
一方で課題リストの管理を娘に託したことで、本人も課題の取り組みに対して自主的に考えることができるようになり、不機嫌にもならずに1日の帳尻を合わせて課題を終了することができるようにもなりました。
親子ともに気負いがなくなって気持ちが楽になった結果、家族での時間もより増え、ステイアットホーム中でも許されている
- ウォーキング
- サイクリング
- 庭でのプール
- 手芸
- 料理
…と楽しい時間もどんどんと増えてきましたし、Google Hangoutを使って現地校や日本のお友達とのチャットやFaceTimeを楽しみながら娘自身のプライベートな時間も楽しめるようになってきました。
またこの期間に読書にすっかり魅了され、学校タイムの空き時間には貪るように本を読むようになったことも嬉しい変化の一つでもありました。
娘がアメリカの現地校で使用中のオンライン教育アプリ&遠隔学習プログラム
今娘が現地校で使っているプログラムは主に以下の3つです。
1.Seesaw:学習記録アプリ
教育用学習記録アプリ(インスタグラムのような教育専用SNSアプリ)がSeesawです。このアプリを通して毎日の課題を先生に提出してフィードバックをもらっています。また自由時間に自分で作った工作や手芸の作品をアップして先生やクラスメイトのコメントももらえます。
2.i-Ready:リーディングと算数のオンラインプログラム
「i-Ready」はリーディングと算数のオンラインプログラムで個人の学習進捗レベル毎に進めていけるソフトです。毎日一定時間進めていくもので、先生からのコメントはデイリーレベルではありませんが、進捗具合はチェックしてくれています。
3.Google classroom:プロジェクト課題提出や生徒同士のチャットも可能
プロジェクトを進めるときに
- Google ドキュメント(Google Docs.)
- Google スライド(Google Slides)
を使う場合、提出はGoogleクラスルーム(Google classroom)を通じて行っています。各クラスのアカウントがあるため、子ども達はクラスメイトとチャットをすることもできます。
※Zoom:クラスメイトとのミーティングで利用
オンタイムで双方向でのやり取りができる代表格であるzoomは実はELDでのクラスと週に一度のクラスメイトとのミーティングでのみしか使っていません。
こうして自宅学習に慣れてくると、時間をある程度拘束されてしまうzoomをメインで活用していくより、個人の進捗に合わせて先生にアドバイスしてもらいながらフィードバックをもらうやり方の方が良いのではないかとも感じています。
少なくとも8月末までは続くこの自宅学習生活。楽しみながら今だから楽しめることを大切に親子で乗り切って行きたいと思っています。
今回は「自宅待機命令発動中の米国カリフォルニア州…我が家のホームスクーリング生活の様子」についてお届けしました。次回は4歳の息子のオンライン授業での取り組みについてレポート予定です。お楽しみに!
記事をお読み頂きありがとうございました!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 安立淳子(Atsuko Adachi)
- Glolea! サンノゼ学齢期・年の差子育てアンバサダー
- サンノゼ
アメリカジョージア州で高校時代を過ごし、言葉が通じない苦しさ、通じあう喜び、文化や感覚的な違いを肌で感じてきました。教育や文化、友人関係まで、私がかつてこんな風に教えてほしかったこと、今はこんな風に教えているんだという気づきも含め、米国サンノゼでの二人の子育てを通じて実直にリポートしていきたいと思います。