虫歯&歯周病ゼロを目指す!予防歯科先進国「スウェーデン」式の歯磨き&口腔ケアテクニックとは?
世界でも有数の「予防歯科の先進国」スウェーデンに学ぶ人生100年時代の虫歯予防習慣&オーラルケア
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
こんにちは! スウェーデン女王認定 認知症専門看護師/Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー長谷川佑子です。
日本のメディアでも取り上げられることがあるのでスウェーデンが世界でも有数の「予防歯科先進国」であるということをご存じの方も多いのではないでしょうか。
スウェーデンでは
みんなが歯の健康を保ち続けられること
を大事にしています。
特に、歯や口腔が成長する子どもの時代には、どのような家庭に生まれても、歯科にかかれる政策が約80年前からあるのです。
歯や口腔疾患は、
- 糖尿病
- 関節炎
- 敗血症
- 誤嚥性肺炎
- 動脈硬化
…その他の心血管疾患などの全身性疾患との間に強い関連性があることを研究で認められています。
また、歯の喪失や咬合機能障害が脳機能に影響を及ぼし、アルツハイマー病などの認知症の発症の引き金となる可能性があることもわかってきています。
目次
平均20本以上の歯が残存しているスウェーデンの80代!
健康な歯は健康な体作りに大切と学んできた長年の教育の成果
スウェーデンでは
健康な歯は、健康なカラダを作るためにとても大切なものだ
と子どもから高齢者までよく知っています。
それは、長い時間をかけてやってきた国民への健康教育の成果でしょう。
私の働く老人ホームの高齢者の多くが自分の歯を良い状態で保っており、スウェーデンの伝統の固い乾燥したパンをバリバリといい音をだして食べています。
スウェーデンでは23歳まで無料歯科治療可能+歯科矯正が必要な子どもは矯正治療も無料ってホント!?
スウェーデンでは、全て子どもは23歳になる年まで無料で歯科治療を受ける権利があり、治療をする歯科医を選べます。
子どもたちが初めて歯科による検査を受けるのは3歳になる年です。
その後も定期的に歯科の受診があり、
- 虫歯の有無
- 口腔の発達確認
- 歯並びのチェック
をされます。
また、歯科受診では、子どもと保護者が歯の健康を学ぶ機会でもあります。
どのような食生活か、歯磨きはどのように行っているのかなど確認し、歯についての知識のない親には特に丁寧な指導を行います。
歯列矯正が必要だと、歯科医に診断された子どもたちは無料で歯列矯正治療を受けられます。
ストックホルム県の若者の約 25% が歯科矯正治療を受けています。
子どもの検診の無料化だけでなく、治療の無料化はもう30年以上も続けられている、スウェーデンの大事な政策の一つです。
子どもが健康な歯を保つために推奨されている5つのポイント
子どもが健康な歯を保つためにはどんなことが大事でしょうか。
スウェーデンで推奨されていることをご紹介します。
- 一日3回の食事と 小さな子どもは1 ~ 3 回の間食がいいですが、食事の間は食べない時間を作り、歯を休ませることは大事です。
- 通常の飲料水は歯に最適なので、子どもには早い段階で水を飲むことに慣れさせます。 食事には牛乳または水がよく、 ジュース、ソフトドリンク、甘いお茶など、砂糖を含む飲み物を子ども飲ませない方がいいです。
- 砂糖を含む食べ物を避け、お粥(スウェーデンではミルク粥にお砂糖やジャムを入れます)、肉(スウェーデンではミートボールなど肉料理にリンゴンベリーのジャムをのせて食べます)、ヨーグルトなどに砂糖を加えないでください。
- 甘いものはできるだけ控えるようにしてください。 子供は週に一度、たとえば「土曜日のお菓子」を決めて、食べてもいい時間を決めますが、食べ終わったらすぐに歯を磨くようにしましょう。
- 乳歯は古い歯に比べて柔らかく、敏感であるため虫歯になりやすいです。WHO(世界保健機関)は、2歳までの子どもには砂糖を含む食べ物や飲み物を完全に避けることを推奨しています。
虫歯予防のためにお菓子を食べることを推奨している!?
スウェーデンの「土曜のお菓子の日」キャンペーン
スウェーデンの子ども達がみんな知っている「土曜のお菓子の日」は、グミのようなお菓子を食べる子どもに虫歯が増えたことから、お菓子は週一回決まったときに食べる習慣をつけて、むし歯予防の推奨のためにできた言葉です。
平日お菓子を食べたがる子どもに
土曜日を楽しみにしようね!
と親が声を掛けています。
楽しみもちゃんと作りながら、予防をすることがいいですね。
以上のようなアドバイスを歯科検診では、普段の食生活やオーラルケアを聞き取りしつつ子どもでもわかるようにしてくれます。
スウェーデン式予防歯科「オーラルケアの黄金の 2 」とは?
スウェーデンの歯科はどんな歯磨きを推奨しているのでしょう。
スウェーデンではオーラルケアに関する
黄金の 2
があります。
- 2 センチ(子どもには、子どもの小指の爪くらいの量で充分です)のフッ素歯磨き粉
- を 1 日 2 回 2 分間使用
- その後は2時間何も飲食しない
というものです。
水はいつでも飲んでも大丈夫ですが、歯磨き直後はフッ素がとれてしまうので、水も飲まない方がいいと。
子どもには、『Rocka munnen(iOSアプリ / Androidアプリ )』を利用して楽しく歯磨き習慣をつけることを勧めています。
スウェーデン流の歯磨き5tips!
では、スウェーデン流の歯磨きの紹介です。
- 小さくて柔らかいブラシヘッドの歯ブラシを使用しましょう。
- マイルドな味の歯磨き粉を選びましょう。 歯磨き粉には虫歯から歯を守るフッ化物が含まれていることが重要です。
- 小さな子どもの歯磨きは寝た状態で行ってください。できれば頭をあなたの膝の上に置いて、子どもが横になっていると、口の中が見えやすくなり、奥の歯がよく磨けます。
- 頬の内側に沿って口の中に指をそっと差し込むと、ほとんどの子どもは自動的に口を大きく開け、歯を磨きやすいです。
- 磨き終わった、歯磨き粉の泡を吐き出して終わり。できるだけ水で口をすすがないほうが、フッ素が残るので、虫歯予防になります。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスやマウスウォッシュの使用も、小学生のような理解できる年齢になると、歯科検診の際に勧められ使用方法について子ども自身が学びます。
スウェーデンの大人は1450ppmものフッ素の入った歯磨き粉を普段から使用しています。
日本でも、近年1,000ppmの濃度を超えた歯磨き粉が認められたようですが、フッ素の過剰摂取によって歯のフッ素症発現のリスクがあることから、6歳未満の小児への使用が禁止されています。ご注意ください。
まとめ:人生100年時代に向けて北欧スウェーデン流の予防歯科を参考に親子でオーラルケアについて試してみよう&話してみよう!
人生100年時代、自分の歯を大事に美味しいものを自分の歯で食べ続けることのできる人生を送りたいですよね。また、子どもたちの未来のためにもオーラルケアについて親子で話していけるといいですね。
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
- ウプサラ
2008年からスウェーデン王国、ウプサラで暮らしています。スウェーデン人の夫、3歳の娘の3人家族。森でのベリー摘み、湖での水遊び…日本とはちょっと違った子育てをしつつ、北欧文化を体験する日々です。 母親も外で働くのが当たり前の国での社会のしくみ、女性たちの生き方もお伝えしたいと思います。