AI時代突入!デジタルネイティブ世代のスウェーデンの「キャリア教育」&自分で体験現場を探す「職業体験」とは?
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
こんにちは! スウェーデン女王認定 認知症専門看護師/Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー長谷川佑子です。
デジタルネイティブである、現代の子ども達。
学校でも、家でもたくさんの情報に触れる機会がある半面、現金を普段から見ることがなかったり、親が自宅から仕事をするものの、どんな仕事をしているのか理解することが難しいのも現実です。
今回は、デジタルネイティブ世代の子どもたちが本格的なAI時代に生きることを見据えて、
- スウェーデンではどのように子どもたちは未来の仕事を考えているのか
- 学校ではどのようなキャリア教育が行われているのか
- 最低10日間以上が義務付けられている中学生の「職業体験」
についてご紹介します。
日本の同世代の子どもたちのキャリア教育のヒントにもなるかも知れません。
AI時代突入! 将来、何をする?
スウェーデンの子ども達は未来や職業選択についてどう学ぶ?
本格的なAI時代が到来しています。
我々大人でも、
- AIによりこれからの仕事がどのように変わっていくのか
- どのような職業が将来性のある仕事なのか
…これらを今知ることは難しいでしょう。
しかし、多くの情報に誰でもアクセスできる環境は、子ども達にとってこれまで以上に自分のやりたいことを仕事にできるチャンスが増えるのではないでしょうか。
「職業流動性」のある社会では大人になってからでも何度でも夢の仕事を追求できる未来に突入する!?
また、以前とは違い、一度就職したら同じ会社、同じ職業についていることが当たりまえではない「職業の流動性がある社会」で暮らす中で、大人になってからも夢の仕事を探していける未来が来るかもしれません。
このように、未知でもある将来の仕事について、世界中の親と子どもは期待と不安をもっているのではないでしょうか。
スウェーデンの小学生・中学生の将来の夢は何?
男女別トップランクをマークする3つの職業
ちなみに、近年の小学生、中学生を対象とした
大きくなったら何になりたい?
夢の仕事は?
といった調査では、以前と大きな変化はなく、
スウェーデンの男の子のなりたい職業
男の子では
- 警察官
- 消防士
- スポーツ選手
スウェーデンの女の子のなりたい職業
女の子では
- 獣医
- 医師
- 教師
といった職業がランクの上位にくるそうです。
サッカー選手は人気の職業
サッカー人気は、男女問わず広い世代であるので、
サッカーのプロ選手になりたい
国内だけでなく別の国でも活躍したい
という夢をもつのはよくわかります。
動物に関わる仕事は女子に人気!
また、女の子が動物に関わる仕事に就きたいというのは、とてもよく聞きます。
それは、動物を飼っている家庭が多い事や、乗馬など普段から動物に触れる機会の多い国らしさを感じます。
スウェーデンでは小学校低学年から社会科で「将来の仕事」を考える時間がはじまります
ちなみに、スウェーデンでは、どの小学校でも低学年な期間に、将来の仕事について考え、表現する時間が社会の授業の中にあります。
「働くこと」「職業選択」「教育と未来の自分」とのつながりについて学ぶスウェーデンの中学生
中学校では、現代社会の授業の中で
- 働き方
- 労働市場
- 労働者の権利
について学びます。
スウェーデン、先進国の労働市場が、農業や工業のものを作ることからサービス業へ変化してきましたが、サービスの自動化、デジタル化によって、サービス業の多くが減少傾向にあります。
現在、多くの人が働く職場でも徐々に人が減っていることを説明した上で、
- 医療
- 福祉
- 教育分野
では今後も人の確保が必要となる領域であることが教科書に書かれています。
また、職業によっては大学やそれ以上の学習が必要な職業もあるため、教育の重要性も示されています。
また、若者が地域の特産物を無人販売所で売る起業についての話しも教科書で紹介されています。
将来の仕事選びだけでなく、
- 労働組合での交渉
- 労働法による雇用差別のないこと
- 労働の変化による社会の格差
についても中学生の教科書で説明されており、具体的で実践的な内容を中学生が学んでいるようです。
スウェーデンでは最低10日以上義務付けられているってホント!? 子ども達自身が自分で体験する現場を探す中学生の「職業体験」
スウェーデンの中学2年生は、最低10日以上の「職業体験」をすることが義務づけられています。
「職業体験」の目的は生徒が将来の
- 進路選択
- キャリア選択
のために、社会人生活についての知識と経験を得ることです。
この職業体験は子ども自身が自分で体験する現場を探します。
もちろん、親が協力する、親の職場に行くというケースももちろんありますが、基本的には、子どもが体験したい職場に連絡をとり、受け入れてもらいます。
職業体験の場が見つからない場合には校長が責任を持って探してくるという決まりもあります。
上の学年の子どもたちから、
カフェでの実習は、ランチに好きな商品から選べてとても美味しかったけれど、一日中立ち仕事でとても疲れた
大学の研究所は興味深い実験していたけれども、実際できることが少なくてちょっと暇だった
…など、中学生目線での体験談を聞いて、自分で体験先を探します。
娘の保育園に中学生が来た時には、子ども達に大人気で、午前中に子どもと思いっきり遊びすぎて、午後になったらぐったりしていたようです。
この職業体験は見学でなく、できるだけ大人と一緒に働き、社会の中で働くイメージをつくり、今後自分がどのような進路を選んでいくのか、考える機会になるそうです。
まとめ:
激動の時代に将来の仕事選びに親が子ども達にできることはなんだろう?
世の中にある職業で我々の目に見えるものはほんの一部ですし、見えにくい仕事を子どもの時から選ぶのは難しいものです。
また、これからは自分で社会に求められる仕事を作っていく時代になるかもしれません。
将来の子どもの仕事選びについて、親が今できることは、子ども達が興味を持つ気持ちを大切にすることや、クリエイティブな考えを表現できる能力を伸ばしてあげることなのかもしれませんね。
今回は、
義務ってホント!? 自分で体験する現場を探すスウェーデンの「職業体験」教育
をテーマにお届けしました。次回もお楽しみに!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
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- ウプサラ
2008年からスウェーデン王国、ウプサラで暮らしています。スウェーデン人の夫、3歳の娘の3人家族。森でのベリー摘み、湖での水遊び…日本とはちょっと違った子育てをしつつ、北欧文化を体験する日々です。 母親も外で働くのが当たり前の国での社会のしくみ、女性たちの生き方もお伝えしたいと思います。