アラブでドキドキの初出産記

上村幸子(Sachiko Kamimura)
Glolea! アラブの子育てアンバサダー

アッサラームアレイム。UAEから、こんにちは。みなさま、いかがお過ごしですか?

さて、今回はアラブ首長国連邦での初めてのドキドキ出産記を綴りたいと思います。

▲街中の公園。当地も朝晩と冷え込み、ようやく昼間から公園にピクニックに行ける、貴重な季節となりました。

はじめての妊娠…
アラブでの病院選びマストはドクターの英語力!

出産に当たり、まず考えるのは病院選び。

 

皆さんは何を基準に選びましたか? 

 

出産スタイル? お食事? 残念ながら、長女を出産した6年前、小さな街に暮らす私の選択肢は限られていました。

 

私の願いはただ一つ。緊急時にも英語で意志疎通ができること。それだけです。私は妊娠中期まで、かかりつけの医者に診てもらい、いよいよ後期に入ると、出産設備も整う、大きな病院へ行きました。担当医師は、優秀だと評判の、英語を話す優しいドクター。バッチリです。

恐怖!? チンプンカンプンなアラビア語&病院の仕組み

▲血液検査など、各検査室は別棟。足元のラクダとヤシの木を辿っていきます。

しかし困ったことに、大きな病院は待ち時間が長い。4時間以上待つのが当たり前です。担当医師の検診は待てども待てども、名前は呼ばれず、順番があるのやらないのやら。やっと診察室に呼ばれても安心はできません。ドクターが緊急で手術室から呼ばれ、「ごめん、出直して来て!」と、走り去っていったことも。

 

初めての妊娠。分からないアラビア語と病院の仕組み。今となっては笑い話ですが、はじめは検診日が恐怖でした。

 

問題は、待ち時間をどうやって過ごすか。待合室の固く小さな椅子では、大きなお腹と身体がもちません。一通り持ってきた本を読み終えたら、さて、どうしようか。いつ名前が呼ばれるか分からないので、病院から離れることはできません。そこで、病院内の売店、もしくは、病院の周りを歩いてみることに。

4時間以上の待ち時間をどう過ごすか…
プラン1:カフェ気分で売店へ。

病院唯一の食品を扱う売店。小さな店内に次から次へと病院関係者が訪れます。彼らは数あるマナキーシュ(アラブのピザ)の選択に迷いもなく、好みのジュースも即座にチョイス。注文の品を受け取るや、腕時計と睨めっこ。そして、売店の席で大急ぎで食べるか、若しくは小走りに出ていきます。

 

私は、雑誌でも眺めながら、お茶でもと思って来ましたが、全く違った雰囲気です。ビスケットとミルクティーを頂くと、そそくさと撤退しました。

プラン2:
病院内の青空市場を散歩。これは当たり!

▲駐車場の青空市場。写真に見える隣りのスロープは救急病棟へと続きます。

病院の駐車場内で青空市場を開いている女性達を発見。ヤシの木の葉を編み込んだ手作りの籠や、食卓カバー。鮮やかな色のスカーフ。フリーサイズのワンピース。そして、お香などが並びます。

 

女性達による駐車場の青空市場、見るものすべてが新鮮でした。

 

ヤシの木で作られたテント。空は透き通るように高く、色鮮やかなスカーフが外の空気でより輝いて見えました。店主達は黒いアバヤをまとう女性達。

 

静かに一人で見せてもらおうと思っていたって、そうはいきません。片言の英語を自在に操り、時にアラビア語でまくしたてます。

商売上手な店主たちに楽しく乗せられ
大きな荷物を抱えて再び待合室へ

店主が、自分で作ったというカゴバックには魅せられました。ヤシの木の葉を編み込んで作ったバックは、素朴な雰囲気と軽さが魅力。当時は車の運転をしていなかったので、タクシーで運べるだけを幾つか買うことに。市場では値切り交渉も醍醐味の一つですが、なにせ、初めての経験。言い値で購入。

▲ヤシの木の葉で編んで作られた、帽子の形。実は食卓カバー。食品を虫から守ります。

すると即座に隣の店主が、「籠より、何より、アンタに必要なのは、大きな眼。これを使いな」と、黒い墨のような粉が入った小瓶を勧めてきました。昔ながらの化粧道具。夜眠る前に目頭から目尻に付けて、朝洗うというタイプのアイライナーだそうですが。うーん、面白いけれど、私にはどうにも使いこなせそうにありません。

 

出産したら、フリーサイズのワンピースが楽でいい、とか。赤ちゃん用の香水はもう用意してあるのか。大判のコットンのスカーフは、授乳中に役に立つし、暑い日差しから赤ちゃんを守る為にも必要だとか。みんなの知恵的な話しが面白くて、商売上手。待合室に戻り、ドクターの診察室へ呼ばれる頃には、大きな荷物も一緒でした。

大きな買い物荷物のお陰で弾む会話!
現地プレママ達との楽しい交流のはじまりはじまり

大きな袋を幾つも持って待合室へ戻る私。普段は近所のスーパーでも、スタッフが商品を袋に詰め、車のトランクへ荷物を積んでくれます。お腹の大きな妊婦が大きな荷物を抱えて病院内を歩くなんて、確かに珍しい。皆の視線の痛い事と言ったらありません。

 

「何買ったの? なんで買ったの? どこから来たの? 」とおしゃべりが始まりました。でも、うれしかったのは、居心地のよい待合室に迎え入れてもらえたこと。なんと、小さな椅子の待合室とは別に、カーテンの奥に絨毯が敷いてある部屋があったのです。

 

靴を脱いで自由に寛げるって、妊婦にはとてもありがたい。周囲の視線も気にせず、横になったりしながら、同じく診察を待つプレママ達。外の売店に自分で買いに行かなくても、雑誌、新聞、そしてミルクティーなど飲み物などが常備されています。唯一の関門は、少し入りにくい雰囲気。でも大きな荷物のおかげで突破口を得て以来、無事に楽しく過ごすことができました。

 

な~んだ、待ち時間がこんなに楽しいなんて。ほっとしました。
さあ、次回の記事はいよいよ出産です。お楽しみに!

▲出産病棟への入口。内部は初代大統領シェイクザイード殿下と病院、そして地域の歴史が見られる素敵なギャラリーになっています!(そうそう、この場所を知ったのは出産後。もっと早くしりたかったなあ、と思いつつ。)シェイクザイード殿下の招聘により、ドクターと彼の家族が始めた医療活動。当時の素朴な暮らしぶりなど、見ごたえ十分。

記事をお読み頂きありがとうございました!

みんなの評価: -- (0件)

この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

上村幸子(Sachiko Kamimura)
Glolea! アラブの子育てアンバサダー
アルアイン

アッサラーム・アレイクム!2007年よりアラブ首長国連邦(UAE)在住。泉を意味するアルアインという小さな街にて、矯正歯科医の夫と歯科医院を経営しています。理科が大好きな8歳と車と電車が大好きな6歳、二児の母です。この国が好き、と誰もが口にする、とても幸せな国よりアラブの日常をお伝えできればと思います。

お得な無料プレゼントやキャンペーン情報をお届けします![不定期配信]