レッジョ・エミリア、モンテッソーリが誕生したイタリアならではの幼児教育の特徴とは?

佐々木希世(Kiyo Sasaki)
Glolea! イタリア子育て&生活エンジョイ・アンバサダー

以前の連載記事にて9月の中旬から我が家のチビ達が幼稚園・保育園に通い始めたことをお伝えしましたが、今回は彼らの学校生活を通じて見えて来た、常識や社会性も大事にしながら、子ども達それぞれの個性やあり方を自由に体現するイタリアならではの幼児教育の特徴について書いてみようと思います。

時間割は日本もイタリアもほとんど変わらないのですが…

レッジョ・エミリア、モンテソーリが誕生したイタリアならではの教育アプローチとは?

 

我が家の場合はイタリア・フィレンツェにある公立 幼稚園・保育園に通っています。

 

時間割だけ見ると一日の過ごし方は日本の(幼稚園ではなく)保育園とほとんど変わりません。

  • 08:00〜09:00:登園
  • 12:00:お昼ごはん(保育園ではその後お昼寝)
  • 15:30〜16:00:お迎え

というスケジュールです。

 

閉園の時間は日本に比べると早いですね。

 

なので、共働きの家庭は親のどちらかがお迎えに間に合うような勤務時間にするか、祖父母またはベビーシッターさんがお迎えに来ています。

日本との一番の違いは? レッジョ・エミリア、モンテッソーリが誕生したイタリアならではの教育アプローチ

一方、大きく違いを感じる点は、先生方の子ども達に対するアプローチ

 

イタリアはモンテッソーリ—教育や、近年注目を集めているレッジョ・エミリア・アプローチが生まれた土地柄だけあって、子どもの自主性や、それを表現したいという意思・行動を大事にする気風があるのだろうとは、私も以前から思っていました。

 

ただ「自主性」や「個の尊重」を強調しすぎると、エキセントリックさの追求に針が振れてしまう可能性もあるでしょう。

 

ですから、

常識や社会性も大事にしながら、その子特有のあり方を自由に体現させるなんて出来るんだろうか?

…と、我が家のチビ達の学校が始まった頃は少し懐疑的でもありました。

 

でも、学校が始まって2ヶ月あまりがたった今、うちのチビ達はとてものびのび過ごしています。

 

イタリアと日本の幼児教育の違いは?

▲保育園では登園すると自分で上着をかけて、上履きに履き替えます。日常動作は日本とほぼ同じです

やりたいことを、やりたいようにさせてくれるイタリアの幼稚園・保育園の先生達

特に自分のペースを大事にする4歳長女は、言葉の壁があるということを差し引いても、リラックスして幼稚園での時間を過ごしているように、親の私たちの目には映ります。

 

移住してまもないため、イタリア語への言葉の壁があるゆえに自分を表現する…にまで至れない我が家の子どもでも、こんな風にリラックスして園生活を送れているのは何でなんだろう? 

 

学校が始まって以来、夫婦でことあるごとに話し、考えてみました。

 

その結果、やはり「個性を尊重すること」に近いですが、あえて平たく言って「やりたいことを、やりたいようにさせてくれること」が最大の理由なんじゃないかという結論になっています。

 

なぜあえて平たく言うのかといえば、「個性の尊重」と言ってしまうと、ともすれば、それはある理論に基づいた教育方針と聞こえてしまいがちだからです。

のびのび子どもを育む!
褒めて、抱きしめて、子どもの挑戦を応援し、見守る…イタリア流の幼児教育

けれど我が家のチビ達が通う学校の場合、それは教育方針というより、とても自然な先生方の判断で行われているように見えるのです。

 

個性の尊重という方針によって、子ども達を「指導」するのではなく、まずは好きにやらせてみて、必要に応じて軌道修正を提案する、というのが私たちが先生から受ける印象です。

イタリアの保育園では親も工作をさせられます。これはその一つで、宝物入れ。子どもの靴箱サイズのものに布を貼って作りましょうというお達しでした

▲保育園では親も工作をさせられます。これはその一つで、宝物入れ。子どもの靴箱サイズのものに布を貼って作りましょうというお達しでした

実際に教室や園庭で子ども達が遊ぶ様子を見ていても、先生方が「指導」という観点から介入している様子は(少なくとも素人目には)ありません。

 

遊びを率先してやってみせるということもなく、子ども達が遊んでいる間は玩具や道具の使い方を教えたり、喧嘩の仲裁をするくらいで、あとは褒めて抱きしめたり、話を聞いたりすることを重視しているようです。

 

一人で遊んでいる子どもがいても、それが長時間に及ばない限りは集団に連れ戻すことはせず、一人遊びの様子を見守っています

 

もちろん公立の学校ですから学年度を通じて何らかの指導要綱や目標はあるでしょうし、日々の中でもイベントや工作プロジェクトなど、目的が明確なものもあります。

 

けれど、そういう「ゴール地点」が明確なケースでも「そこに辿り着く手段やペース」は子ども達にゆだねられているように見えます。自分なりのやり方を見つけ挑戦することを、強制はすることなく是としているのです。

 

ですから子ども達も無用なプレッシャーを感じることなく、のびのびと生活しているのではないかと感じます。

マイペースでOK! 抱きしめられ、褒めちぎられる環境の中で達成することを学ぶイタリアの子ども達

我が家の例で言えば、慎重派の長女のケース。

 

彼女は言葉の壁や性格などがあって当初はなかなか園生活になじめず、昼食が終わる時間に下校するという不規則なスケジュールをつい最近まで、2ヶ月もの間続けていました。

 

毎朝登園時になると涙を浮かべる姿を見て私たちも随分心配しましたが、その度に先生方にかけて頂いた

mamma, piano, piano
ゆっくり、ゆっくりね、お母さん

という言葉に、本当に救われる思いがしました。

 

そして、自分のペースを守って過ごすそんな長女を園全体で見守り、通常通りのスケジュールで登園できることになった時、全ての先生が一緒に喜んでくれました

 

彼女にとっても、この経験・達成感はこれからの人生や、個の形成において大切な礎になることと思います。そして抱きしめられ、褒めちぎられた(褒めることはイタリアではとっても重要!)思い出は、達成感とともにいつまでも心に残るでしょう

 

ではなぜイタリアの先生方は、様々な子ども達を野放し…もとい十人十色の子ども達を前に、焦ることなくどっしり構えて対峙することが出来るのでしょう?

 

私なんて二人だけしかいない我が子にも手を焼いているのに!

イタリアの幼児教育の現場で大切にされていることとは?

一つは自分たちもそうやって育って来たから、そのような教育が彼らにとって自然である、ということがあるでしょう。そして、実際に「個を育む」教育方針というものも、存在するのかもしれません。

 

もう一つには、これは私の推察ですが、「イタリア人気質」というものも大きく関わっているのではないかと思います。良くも悪くも無理をしない。教員であることの制約を超え、人間として、あるいは一生活人としての本能や、当たり前の常識を持って行動する

 

楽しいと思うことや、自分の気持ちに素直でいる。そして、子どもを本当に大切に思う

 

こういったイタリア人ならではの気質を持って接することで、子ども達は屈託なく自由でありながら、同時に社会性をも自然に身につけるのではないでしょうか

 

長男の保育園での生活を見ていると、これが顕著に現れていて笑ってしまうほどです。

人間らしく、おおらかなイタリア・スタイルな先生達

例えば先生が寒ければその日は外遊びはしないし、おやつが出てくると先生が真っ先に手を伸ばしていたり。えこひいき? と思えるくらいに特定の子を可愛がっていることもあります。

 

日本のお土産を先生方にと持って行ったら、

珍しいから子ども達と一緒に食べちゃった!

と、長男のクラス全員で分けていたこともありました。

 

こう書くと一個人としては「そういうこともあるか」でも、先生がこうあっていいの? と日本人ならちょっと感じてしまいますよね。

 

私も同じく、時には「ん?」と疑問が湧くこともあります…が、こうした人間らしさのあふれた先生方がいてこそのイタリア・スタイルの教育だよなと、最近では思っています。

イタリアの幼稚園の給食メニュー

▲ある日の幼稚園給食のメニュー。同時には出てきますが、ちゃんと前菜、メイン、副菜のコースになっています。テーブルクロスを敷いて、複数のお皿で出て来る様子。羨ましい!

そして幼児期にこの教育を経てこそ、おおらかで明るく、時には享楽的(!)なイタリア人が出来上がるんだよなと、納得する部分も大、です。

 

さて、日本人である我が家のチビ達の学校生活はまだ始まったばかり。この1年が終わる頃、彼らはどんな成長をし、どんな変容を遂げるのか、今からとても楽しみです。

この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

佐々木希世(Kiyo Sasaki)
Glolea! イタリア子育て&生活エンジョイ・アンバサダー
ミラノ

14年8月に、イタリアはミラノに居を移す。2人の子供達を追いかけ回しながら、日本とは違う時間の流れの中でのイタリア生活を満喫中。学生時代の専門だった美術をはじめ、食事・お酒を愛する身には最高の住環境! 子育て周りをはじめ、そんなところもご紹介したいと思っています。著書『「半径5メートル最適化」仕事術 おしゃべりな職場は生産性が高い』好評発売中!

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