オランダでは小学生から「応急処置」を学ぶってホント!? その意外な理由とは

倉田直子(Naoko Kurata)
Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー

人命救助の応急処置や、心肺蘇生措置

 

自動車免許取得の際に実習を受けたという方も多いのではないでしょうか。

 

けれど、そういった措置を施さなくてはいけない場面に出会うのは、成人してからとは限りませんよね。もしかしたら小学生でも、必要になることがあるかもしれません

 

今回は、オランダにおける小学生への応急処置実習を働きかけるムーブメントについておはなしさせてください。

 

そこには、なんともオランダらしい理由も隠されていました。

オランダでは小学生から「応急処置」を学ぶってホント!? その意外な理由とは

オランダで子供達に「応急処置」レッスンの義務化を求めるムーブメントが発生した理由とは?

先日、こんな記事を見つけました。

オランダでは小学生から「応急処置」を学ぶ! その意外な理由とは?

Hulpverleners willen kinderen op EHBO-les: ‘Zij kunnen levens redden’ / ソーシャルワーカーは応急処置のレッスンを子供にすること望んでいます:「彼らは命を救うことができます」
出典:RTL Nieuws

この記事によると、

    • 警察
    • 消防隊
    • 救急車
    • 航空救急隊

といったソーシャルワーカーたちによる共同の呼びかけで、学校(小学校および中等教育校)での応急処置のレッスンを義務化することを求めているのだそうです。

子供たちは非常に優秀で適切な救助者になることができる

と太鼓判を押しています。

 

救急車を呼ぶことを前提としつつも、一刻を争うような事態で子供たちも適切な行動をとれるようにする目的なのだとか。

 

確かに、そういった緊急事態に遭遇する可能性があるのは、子供も同じですね。

 

知識と実習経験があれば、焦らずに適切な判断ができるかもしれません

日本でも一部の自治体で行われている子供達の応急処置実習「ASUKAモデル」

ちなみにオランダではなく日本でも、一部の自治体で既に実習を行っているようですね。

 

埼玉県さいたま市のすべての市立学校(小学校・中学校)で実施されている「ASUKAモデル」という取り組みが有名だそうです。

緊急時の適切な行動が、子供自身をトラウマから守る

オランダに話を戻します。

 

オランダの救命救急に携わる人々が何故子供たちに応急処置実習を求めるのかには、更に意外な理由がありました。

 

最初に紹介した記事によると、患者の命を救うだけでなく、子供たち自身をトラウマから救うという側面もあるのだとか。

応急処置を学ぶことで子供の心を守る、トラウマから守る

何らかのアクシデントに遭遇した時、子供たちが側でなすすべもなく無力感を味わうのではなく、何らかの貢献ができれば後々のトラウマも少なくできるそうです。

 

事故や災害にあった本人ではなく、その場面に居合わせてしまった子供のメンタルまで考慮されているなんて、なかなか聞かない視点だと思いました。

 

こういう、子供を思いやる社会に生きているからこそ、子供が幸せを感じられるのかもしれませんね。

オランダの一部の学校ですでに開始済みの「応急処置実習」

また、義務化はされていませんが、既に実習を導入している小学校もあると最近ニュースで見かけました。

「子供たちは学校で応急処置のレッスンを受けるべきです」

‘Kinderen moeten EHBO-les krijgen op school’ / 子供たちは学校で応急処置のレッスンを受けるべきです
出典:NOS Jeugdjournaal

 

素晴らしい取り組みだと思います。

と、このことを私がソーシャルネットワークサイトでつぶやいたところ、フォロワーであるオランダ人の方からリアクションを頂きました。

 

その方はオランダで小学校高学年の時に、心肺蘇生措置などの応急処置の実習を学年全体で受けていたのだとか。実技以外にも、筆記テストもあったのだというから驚きです。

 

でもその方は、

一生忘れない知識と技術を得られた

と非常に肯定的に取られていました

 

もちろんそれを受講すれば万事OKという訳では全くないと思いますが、幼いころにそういう自信を得られるのは大きいのではないでしょうか。

オランダ&日本の学校でも「応急処置」レッスンの導入を

学校における応急処置実習・講習・レッスン

私も例にもれず、日本で運転免許取得の際に応急処置実習を受けました

 

けれど裏を返すと、そこ以外では全くチャンスがなかったともいえると思います。

 

つまり、免許取得されない方は、もしかしたら一生そういった応急処置の実習を受ける機会がないかもしれないんですよね。

 

そのまま何らかの緊急事態に遭遇するのは、非常に心もとないのではないでしょうか。

 

日本もオランダも、ぜひ義務教育期間中にこの応急処置の実習を受講することを義務化して欲しいと思います

今回は『オランダが小学生から応急処置を学ぶ意外な理由』をテーマにお届けしました。

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

倉田直子(Naoko Kurata)
Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー
ハーレム

オランダ在住ライター。2004年にライターデビュー。2008年に家族の仕事都合で北アフリカのリビアに移住。リビア在住中に、現地の生活をリポートする海外在住ライターとして活動開始。2011年8月、英国スコットランドに移住。2015年夏よりオランダ在住。2008年生まれの娘は日英蘭語のトリリンガル。

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