アメリカのプリスクールで実践されている「子どものやる気」と「人を信頼する芽」を育む仕組みとは?

善家美緒(Mio Zenke)
Glolea! 世界の子育て取材中!アメリカ子育てアンバサダー

アメリカ・プリスクール事情② 〜Early Educationの現場から〜

アメリカのプリスクールの仕組み

Image courtesy of nenetus at FreeDigitalPhotos.net

9月からプリスクールに通い始めた2歳の娘。プリスクールってどんなところ? どんなことをするの? うまく馴染めるかな?というわたしたちの心配をよそに、すっかりお友だちや先生たちと仲良くなり、週3日にしていた登園日は、早くも週5日になりました!

 

「アメリカのプリスクール事情」2回目は、アメリカのプリスクールで実践されている「子どものやる気」と「人を信頼する芽」を育む仕組みについてお伝えします!

子どものやる気を引き出す魔法の言葉!
“Help”という概念を身につけるとっておきの方法とは?

▲娘のクラス”Ladybugs"のジョブチャート。写真を貼るので、今日は誰がどのジョブかが一目瞭然! ※顔写真は個人情報保護のためストックフォト画像に差し替えをおこなっています※

▲娘のクラス”Ladybugs”のジョブチャート。写真を貼るので、今日は誰がどのジョブかが一目瞭然!

プリスクールでは前回述べたように、登園する時間が各家庭によって異なります(2歳クラスの場合)。娘のクラスは7人、先生2人の少人数制です。

 

朝、クラス全員が揃うと始まるのが、その日一日の“クラス・ジョブ”決めです。

 

Train Caboose(トレインカブース)は列を作るときに先頭に並んで、整列のお手伝いをする仕事。Weather Helper(ウエザーヘルパー)はお外遊びの前にお天気をチェックする仕事。Cot Helper(コットヘルパー)はお昼寝のときにみんなのベッド(Cot / コット)を並べるお手伝いをする仕事、などなど。

これは誰がやる?

と先生が聞いて、子ども自身に立候補させて決めていきます

 

上手にできたとき、一生懸命やろうとしたときは(できなくても)、必ず先生が、

Thank you for helping!

と声をかけてくれます。そのときの子どもたちの、得意そうな・うれしそうな顔

 

今では、我が家でも、娘がお手伝いをしてくれたときに毎回

Thank you for helping!

と言うようにしています。

 

“Help”でみんなが喜んでくれる、“Help”って楽しい!

と、子どものやる気を引き出しながら“Help”という概念を身につける、とっても素敵な方法です。

PTAや役員はなし!
イベントごとにボランティア募り親も“Help”に参加します

ちなみに・・・“Help”を学ぶのは子どもたちだけではありません。

 

娘のプリスクールにはPTAや役員のようなものはなく、様々なイベントのたびに、保護者に一斉に連絡をして、ボランティアを募るのです。(クラスピアレントという役割のママはいますが、行事のたびに仕事を任されるということはありません。)

 

10月下旬、プリスクールで、“Trike-A-Thon(トライカソン)”というイベントがありました。Trike-A-Thonは「trike(三輪車)」と「marathon(マラソン)」を掛け合わせた造語で、子どものガンなどの病気を研究している団体による募金イベントですが、三輪車に乗って楽しく募金をしよう! というアメリカらしいイベントでした。

▲Trike-A-Thon(トライカソン):娘は、Trike初体験! 用意したプリンセスのヘルメットをかぶって、ドキドキ!

▲娘は、Trike初体験! 用意したプリンセスのヘルメットをかぶって、ドキドキ!

せっかくの機会なので、わたしもボランティアに参加することにしたのですが、初めてのボランティア、どんなことをすればいいのか心配でした。

▲朝から準備していたボランティアのママ・パパたちの姿も。

▲朝から準備していたボランティアのママ・パパたちの姿も。

先生たちに相談すると、事前の準備ではなく、その場に来て子どもたちのサポートをすればいい、ということになり、娘のクラスの子どもたちが三輪車に乗る様子を見守るという”Help”をすることになったのです。

▲ワシントンD.C.はすっかり秋模様。紅葉のなか、小さなTrike and Bikeが走る姿はとても愛らしかったです。

▲ワシントンD.C.はすっかり秋模様。紅葉のなか、小さなTrike and Bikeが走る姿はとても愛らしかったです。

当日は、娘の楽しそうな様子を見ながら、他のママやパパたちともゆっくり話しができて、とても貴重な機会となりました。そう、パパも何人かボランティアに参加していたんですよ! イベントが終わり、クラスに戻ると「パパはもう仕事に行かなくちゃ!」と言ってお子さんにキス! 足早にお仕事に行っていました。

アメリカらしい自然体な“Help”で親も子どもも経験から学びます

”無理をしない、自分のできる範囲でお手伝い”という雰囲気なら、次もやってみよう、という気持ちになれます。強制したり、「あの人はいつもボランティアをやらない!」といわれることもありません。

 

アメリカらしい自然体な“Help”の雰囲気、とてもいいなあと感じています。

幼少期に“Help”という言葉と経験から育む
信頼することの芽

この“Help”という言葉。

 

この言葉は、誰かを助けるとき”だけでなく、自分が助けを必要としているときにも使えるということを、アメリカのプリスクールでは学びます。

 

例えば、子ども達は転んでしまったときに、自分で起き上がるときもあれば

Help, please!

と言うときもあります。

 

娘がそう言ってきたとき、わたしは、何かをしていても極力その手を止めて、必ず助けに行く(転んでいたら抱き上げる等)ようにしています。

 

Help, please!

と声をあげれば、必ず、ママが/先生が/お友だちが応えてくれる。
自分が誰かを助けているように、必ず誰かが自分を助けてくれる、支えてくれる。

 

これを繰り返すことで、子どもの中で「人を信頼することの芽」が育まれていくのだと思います。

▲"Help"と言ってわたしを呼ぶときもあれば、ひたすら"No!!!”と言って動かなくなることも。難しいお年頃です。

▲”Help”と言ってわたしを呼ぶときもあれば、ひたすら”No!!!”と言って動かなくなることも。難しいお年頃です。

 

「子どものやる気」と「人を信頼する芽」を育む!
家庭でも実践できる“Help”のススメ

  • 誰かが困っていたら、助けを必要としていたら、自分のできる範囲で助けてあげること
  • 自分ではどうすることもできなくて、誰かに助けてほしいと思ったとき、誰かに手を差し伸べてほしいと思ったとき、ちゃんと「助けて」と言えること

“Help”って、シンプルですがとても奥深く、素敵な言葉なのです。

 

英語育児を実践されているご家庭は、ぜひお子さんと一緒に”Help”を生活に取り入れてみてください!

“Help”実践のコツ

  • 子どもに役割(ジョブ)を与える
  • それをやろうとしたら、すかさず”Thank you for helping!”と伝える
  • 子どもに何かしてほしいとき、ママが”Help, please!”と言ってみる
  • 子どもが”Help, please!”と言ってきたときは、必ず応える


毎日プリスクールに通っているおかげで、娘もわたし自身も、様々なことを吸収し、一緒に成長しているように感じます。次回は、プリスクールでどんどん上達する娘の英語、バイリンガルの育児について、お伝えしたいと思います!

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

善家美緒(Mio Zenke)
Glolea! 世界の子育て取材中!アメリカ子育てアンバサダー
ワシントンD.C.

2014年よりワシントンD.C.在住。渡米するまでテレビ局のディレクターとして、教育・教養分野の番組を制作。夫の海外転勤に伴い退職、”世界の子育てを取材するジャーナリスト”を目標に、2歳の娘とアメリカ生活奮闘中!趣味は旅行、芸術、読書。ロシア文学、モネ、尾形光琳、冬のドイツをこよなく愛しています。

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