プリスクール探しから学んだオランダ流子育てのポイント

関原玲奈(Reina Sekihara)
Glolea! オランダ・マルチカルチャー子育てアンバサダー

こんにちは! Glolea! オランダ・マルチカルチャー子育てアンバサダー関原玲奈です。今回は、日本からオランダに移住後の子供のプリスクール探しから垣間見えてきた、日本とオランダの幼児施設の違いや、プリスクールを決めるまでの経緯を、オランダ流の子育てのポイントと共に私の経験を元にご紹介したいと思います。

オランダにも待機児童問題がある!?

日本で1年以上も毎日保育園に通園していたのに、2歳児にしてオランダ移住後、突如ママと毎日を過ごすようになった息子。最初の1ヶ月は楽しそうでしたが、一向に登園もしないし、オランダの公園に遊びに行ってもお友達がなんだか聞いたことのない言葉を話しているようだと次第に気づいたのでしょう。

 

2歳という年齢という彼なりのもどかしさや寂しさがあるように感じていました。


オランダでも早めに通園させてあげたかったものの、プリスクールの入園には微妙な年齢だったことと、オランダでも待機児童にあたるウェイティングリストがあるため、少し時間がかかりました。

 

幸運なことに、3月から通常より少し早い年齢で無事にプリスクールへの通園がスタートしました。

オランダ子連れ移住

▲新しい遊具に果敢に挑戦しひとつずつクリアしていく様が頼もしくもあり寂しくもある…オランダ移住後の母心です。

オランダの乳幼児幼児施設にはどんな種類がある?どのように利用するの?

まず、4歳の誕生日で小学校に入学するまでの、オランダの乳幼児施設をご紹介します。私が調べたところによると、大きく分けて以下の通り3つあるようです。

  • 保育園(Kinderdagverblijf):
    0歳からフルタイムで預けることが可能なため、共働き家庭に人気。日本よりかなり高額だが、共働き、もしくは学生やひとり親家庭であれば、自己負担額が軽減される

 

  • プリスクール(Peuterspeelzaal):
    2歳半頃から朝か午後の数時間を過ごす

 

  • 保育ママ(Oppas):
    日本の保育ママのように自宅で有償で預かってくれる

この他に、ベビーシッターなどもありますが、週に2日ほど上記のようなサービスを利用することが多いようです。

週に2日で足りるの?

という日本人ママからの声が聞こえてきそうですが、ワークシェアリングの進む国オランダでは、パパとママが週3〜4日ずつ仕事と育児を分担します。

 

また、祖父母も週に1日は孫の面倒を見ている家庭も多く見受けられます。

オランダの保育園(Kinderdagverblijf)は日本と比べてかなり自由

オランダのキンダーガーテンの選び方

日本では協調性が大事にされ、みんな大体同じ頃通園し、一緒に食事をして、一緒に布団を並べてお昼寝をして起きてまた遊ぶ、を繰り返すと思います。

 

ところがオランダで見学した保育園では、どこも日本と比べて自主性を重んじていました。

 

まず、日本のように年齢別のグループではなく、0歳〜4歳までを通園日や年齢のバランスで10人ずつくらいのグループに分けてあります。

 

前回の連載記事にてご紹介させていただいた「イエナプラン教育」の異年齢学級のスタイルと類似しています。

 

登園時間は各家庭や子供の気分、調子を優先する形でまちまちです。お昼寝に関しては、2段ベッドが設けられたナップルームがあり、眠たくなった人だけ寝ます。

 

面白いことに、寝る場所はナップルームのみと決められておらず、本人が寝たいところで寝たいときに寝るのが一番良いとされているため、廊下にマットを敷いてひとりで寝ている子もいました。

 

遊びに関しても基本的には用意されたおもちゃで本人の意思を尊重し、自由に遊ばせているようでした。

 

トイレは、興味を持った子は年齢に関係なく座らせてみているとのことでした。

オランダ子育て・教育事情…プリスクール・キンダーの選び方

▲1日過ごす場所なので外遊びの遊具も充実

まるで一軒家、ゴージャスなインターナショナル・プリスクール(Peuterspeelzaal)

続いて、英語で幼児教育を行うインターナショナル・プリスクールをご紹介します! このインターナショナルプリスクールは、ブリティッシュタイプのため、スクールの前に赤い大きな2階建てバスが停まっており、行き交う人の目を惹きます。

オランダのプリスクール選び方

▲親の方が心くすぐられる2階建てロンドンバス

実はここは、プリスクールだけでなく、保育園のような「デイケア」、学童にあたる「アフタースクールケア」も行っています。

 

そのため、フロア毎にケアタイプの違う年齢も様々な親子が行き来していました。

 

ここを訪れてみたかった最大の理由は、敷地内に大きな森のようなプレイグラウンドがあると謳っていたためです。

 

毎日体力の果ての果てまで動き尽くす息子が、間違いなく楽しめることでしょう。

 

ホームページで見たような、木で作られたハウスや遊具があり、デイケア、アフタースクールケア(学童)の子供たちは楽しそうに遊んでいました。

 

プリスクールの子は、わずか3時間の在園なので、外遊びはせず、お部屋の中で充分楽しめるよう配慮されていました。

 

例えば、クローゼットに見立てたコーナーに、様々なコスチュームやママから借りてきたような衣類が置いてあり、そこは女の子たちに人気でした。

 

他には、キッチンコーナーやお絵描きコーナー、ゆっくりくつろいで絵本を読むソファスペース。

 

まるで本当のお家のようです。

日本にはないペアレントルームが用意されているオランダの幼児教育施設

オランダのプリスクール・保育園・幼稚園…等幼児施設にあるペアレントルーム

▲無料Wi-Fi、飲み物、軽食、雑誌まで完備のペアレントルーム

オランダで視察したどの幼児教育施設にも共通していたのは、ペアレントルームと呼ばれる部屋やスペースが用意されていることでした。

 

私は日本で見たことがないのですが、部屋の中には、

  • 紅茶
  • コーヒー
  • スナック
  • ファッション誌
  • 子供のおもちゃ

…が用意されています。

 

入園当初は、まずこのペアレントルームで、親と先生と少し遊んだりお話をして、徐々に雰囲気に慣れさせ、託児室へと移動します。

 

少しでも子供に「ここは楽しいところなんだ」と意識させて、親との別れを極度に悲しまずに済むようにしているとのことです。

 

また、親と先生との報連相の場でもあります。

 

そればかりか、無料Wi-Fiがゲストに用意されている園もありました。

 

3時間だけの預け入れのプリスクールの親のことを思い、

時間をうまく使うために、お迎えの時間までここでPC作業しても構わないわ

と先生談。この配慮には、圧巻でした。

子供がよりオランダでの生活を楽しめるために親が出来ること

オランダで生活している以上、オランダ語が話せることが子供の可能性や選択肢を広げてくれると考えている私たち夫婦は、VVEという教育プログラムを採用しているプリスクールを選びました。

 

このVVEプログラムは、家庭でオランダ語を話さない子供が、言語能力や認知発達の遅延なく小学校生活を送れることに焦点を当てた幼児教育です。

 

休園日の水曜日を除く週4日の通園と保護者会への参加が必須ですが、住んでいる自治体から補助金が支給され、とてもリーズナブルです。

 

最後に、これまでに出会った多くの先生が口にした言葉が印象に残っているので、ご紹介します。

大人の思い通りにさせようとしないわ。子供はそれぞれ違うし、それぞれの意思があるものね。

穏やかな先生の表情を見て、ふと、眉間にシワの寄りがちだった日々の自分を戒めました。

 

お行儀よくさせていなくてはいけない、○時に昼寝させなくてはいけない…などとマスト項目ばかり考えるのではなく、その子自身の個別の欲求を理解し、成長と能力を信じてあげることが大事だということです。

 

それによって、親も気を張りすぎずにいることが、オランダ流楽しい育児のポイントですね。

 

次回連載では、「オランダで子育てをする中で感じた親としての姿勢とその重要性」についてお届けします。 

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

関原玲奈(Reina Sekihara)
Glolea! オランダ・マルチカルチャー子育てアンバサダー
デン ハーグ

バックパッカーで旅をしたヨーロッパに子供を連れて十数年ぶりに再上陸。「ママがハッピーなら、子供もパパもハッピー」をモットーに、ママが生き生きできるような子育て法を自ら考え取り組む。多言語環境の中、言葉を覚え始めた我が子の言語教育を勉強中。

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