経済格差を教育格差にしないために、
文部科学省と共に公立校への国際バカロレア(IB)導入や財団からの支援体制も整えています
−−国際バカロレア(IB)スクールをはじめ、そういった多様性のある教育が受けられる学校は、比較的授業料の高い学校が多く、経済格差が教育格差を生む可能性がありますが。
坪谷:経済格差を教育格差にしないためにも多様性のある教育をどんな環境の生徒達でもが受けられるようにしたいと思います。
今、私が国際バカロレア(IB)委員として文部科学省と進めている、国際バカロレア(IB)認定校の対象は公立も含まれています。
ただ、国際バカロレア(IB)教育は、個人に対して金銭的な負担が大きいことも事実です。まずは卒業までに必ず受けなくてはいけない12日間に渡る卒業試験が一人820ドルかかります。1ドル120円に換算すると10万円近くかかります。またパソコンだって必要になってくるでしょう。
−−じゃあ結果的には、やはり経済的な環境に恵まれない生徒達には国際バカロレア(IB)教育を受けることは難しくなるのでしょうか?
坪谷:その為に、世界で生きる教育推進財団を設立しました。
世帯収入によって財団がそれらを負担します。この主旨に賛同する方々、2万人が年間5000円の会費を払っていただければ全国200の国際バカロレア(IB)認定校において世帯収入500万円以下の生徒全員を対象に支援ができます。ぜひ、ご協力をお願い致します。
※世界で生きる教育推進財団では、国際バカロレアを受ける子ども達を支援し、子ども達が望めば、誰でも世界標準の教育を受けられる社会を実現します。『世界で生きる教育推進財団ホームページ』から入会・支援が可能です。
世界中が教育でつながっていくことがあたりまえの時代に向けて
−−坪谷 ニュウエル 郁子 さんは、今までにも数々の「不可能を可能に」変えてきました。その一部を教えていただけますか?
坪谷:国際バカロレア(IB)修了生が国際バカロレア(IB)のスコアで、日本の大学に入れるようにしました。また、複数の大学の教職課程において、国際バカロレア(IB)教師教育のカリキュラムを取り入れてもらうことにも成功しました。
国際バカロレア(IB)教師になれば国内はもちろん、国際バカロレア(IB)スクールがある世界147ヶ国で教師ができます!
日本は素晴らしい国ですが、たくさんの制度が古くなって制度疲労を起こしています。だから私は、その古い制度に風穴を開けていき、そこから
それもいいんだ! 許されるんだ
と後にたくさんの人達に続いてもらいたいです。
脱ガラパゴス教育!
世界で生きる力を育む「国際バカロレア(IB)」で世界の教育がつながる
教育は間違いなく世界標準になります。国同士の教育が、互換性を持つようにもやがてはなるでしょう。
今の子どもたちは、そういう未来を生きるようになると思います。
日本で免許を取得していれば、どこの国でも車が運転できるのは、もう当たり前のことですね。
教育もそういう当たり前が、すぐやってくると思います。
−−センター試験の廃止もあり、今までのような「詰込み型」ガラパゴス化した日本の教育が変わります。国際バカロレア(IB)プログラムのココがすごい! というところを教えてもらえますか?
「これを暗記しなさい」じゃなくて「何を学ぶのか」「どうしたら学べるのか」「何を学んだのか」
を常に意識して学び続けるのが国際バカロレア(IB)のプログラム。
そうしていくと高校1年生頃には、自分の特性がわかり、自分で自分の未来を選択していけるようになります。 IBスクール修了生は、大学でも成績優秀者が他の2倍、大学院の進学率も2倍となれば、大学は好条件を提示してでも、自分の大学で学んで欲しいという傾向がここのところ顕著です。
実際、うちの娘も、米国の大学から、飛び級、寮と駐車場の優先権、ポスドク(博士研究員)の家庭教師をつける、というオファーが来ました。
−−国際バカロレア(IB)スクールで学んだ、坪谷 ニュウエル 郁子 さんのふたりの娘さんは、今、どこで何をしていらっしゃるんですか?
坪谷:娘はふたりともオーストラリアにいて、上の子は教育学部の大学生。学校を卒業したらペルーで、小学校の先生をやりたいと言っています。下の子は動物学を学んでいて、将来は絶滅する動物の救済をやりたいとのことです。
文/宇佐見明日香 撮影・編集/内海裕子
坪谷ニュウエル郁子さんインタビューの後編では、ご自身の子育てや、坪谷さんが考えるグローバル教育と日本・世界への想いについて迫ります≫≫
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