北欧スウェーデンの中高生アルバイトデビュー!『サマージョブ』で社会経験と進路につながる体験【海外事例】
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
スウェーデンの中高生は、夏休みに自治体が提供する「サマージョブ」という短期アルバイトで社会経験を積みます。本記事では、スウェーデン・ウプサラ市の安全基準を満たした制度内容、応募条件、時給(日本円換算)、選べる仕事内容を詳しく解説。さらに、現地高校生や社会人の体験談から、初めてのアルバイトが進路や将来設計に与える影響を紹介します。日本との違いや文化背景も交え、スウェーデンの中高生アルバイトデビュー事情をわかりやすくお届けします。さらに現地スウェーデン人の体験談から現地の子育て文化や進路選択への影響まで紹介します。
こんにちは! スウェーデン女王認定 認知症専門看護師/Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー長谷川佑子です。

▲スウェーデンでは市町村のサポートで中学生(9年生以降)からアルバイトデビューができるってホント!?若者が社会経験を積みながら、自分でお金を稼ぐ力を学び、将来の進路選択にもつながる貴重な経験につながる教育的な機会を創出!
夏休みは初めてのアルバイトに挑戦する子ども達もたくさんいると思います。
長期休みのアルバイトは、時間に余裕があるため、経済的なメリットはもちろん、学校生活では得られない社会経験を積む貴重なチャンスです。
働く職場によっては、将来の進路や仕事選びに影響を与えることもあります。
だからこそ、安全な労働環境で、子どもの興味に合ったアルバイト体験であってほしいと保護者も願うものです。
今回は、中学生からアルバイトデビューできるスウェーデンのサマージョブ制度を例に、海外での中学生・高校生のアルバイト事情をご紹介します。
スウェーデンでは、中学校3年生が6月に卒業し、その夏にアルバイトデビューをするのが一般的です。では、スウェーデンの子どもたちはどんな仕事に挑戦しているのでしょうか。日本との比較も楽しんでみてください。
目次
夏休みに中高生が初のアルバイトに挑戦!スウェーデンのサマージョブ制度とは?
スウェーデン各市町村が提供する安全なサマージョブ【ウプサラ市事例】

▲スウェーデン・ウプサラ市では、毎年夏休みの時期に中学生や高校生を対象としたサマージョブ(夏の短期アルバイト)が実施されています。
スウェーデンでは、義務教育を終えた子どもたちが安心して働けるよう、各市町村が安全基準を満たしたアルバイト(サマージョブ)を用意しています。
これは、初めて社会で働く経験をより良いものにするための制度です。
ここでは、スウェーデン第4の都市ウプサラ市の取り組みをご紹介します。
ウプサラ市では、毎年夏休みに中学生や高校生を対象としたサマージョブ(夏の短期アルバイト)を実施。
若者が社会経験を積みながら、自分でお金を稼ぐ力を学び、将来の進路選択にもつながる貴重な機会となっています。
応募できるのは主に中学9年生(スウェーデンの学制でいう「årskurs 9」)以上。
生徒はウプサラ市を通じて申し込み、全員が仕事を得られる仕組みです。希望職種は3つまで選択可能。
子どもと関わる業務を希望する場合は犯罪経歴証明書の提出が必要です。
スウェーデン中高生サマージョブで選べる仕事内容&職種一覧
市が用意している仕事は多岐にわたり、以下のような職種があります。
- 保育園や学童保育での補助
- 高齢者介護
- 障がい者支援
- 公園の清掃
- 施設内の清掃
- 図書館や文化施設での仕事
さらに、音楽に関心がある人には「Uppsala Summerchestra」と呼ばれる音楽オーケストラ活動に参加する選択肢もあり、高齢者施設で演奏を届けるやりがいのある仕事も体験できます。
3週間のサマージョブ!勤務時間・給料はいくら?
サマージョブは夏休み中の3週間(6月中旬〜7月初旬頃)に行われます。
勤務時間は週あたり最大で90時間までと定められています(職場によって若干異なる場合があります)。
給料については、年齢や在籍している課程によって異なりますが、2025年の時点では、
- 中学9年生:約84.50クローナ(約1,200円/時給)
- 18歳以上:約107.50クローナ(約1,530円/時給)
が支払われます。
いずれも、有給休暇分(13%)を含んだ金額となっており、実際の給料は勤務が終了した翌月の27日に振り込まれます。
※上記日本円は1スウェーデンクローナ=14.2円、2025年8月のレートで概算。
高校生は民間企業や団体に応募できる!市の求人フェア「サマージョブ・フェア」とは?

▲高校生はレストラン・カフェ・イベント運営など民間企業や団体の「サマージョブ」に応募可能!
一方、高校の通常課程に通う生徒の場合は、自分で
- レストラン
- カフェ
- イベント運営
…などの民間企業や団体に応募します。
ウプサラ市は直接の雇用は行いませんが、求人を紹介するフェアなどを通じてサポートを行っています。
たとえば、毎年3月に開催される「サマージョブ・フェア」では、実際に参加して仕事を探すことが可能です。
このように、ウプサラ市のサマージョブ制度は、若者にとって働くことの大切さや喜びを学べる非常に意義のある制度です。
誰もが平等に働くチャンスを得られるよう配慮されており、スウェーデンならではの教育理念や社会参加の精神が息づいていると言えるでしょう。
興味がある方は、市の公式ウェブサイトで詳細を確認し、早めの準備をおすすめします。
現地スウェーデン人に聞く!
初めてのサマージョブ体験談【現地インタビュー】
職場のお茶時間「FIKA」で、スウェーデン人の
- 30代女性管理職(アンナ)
- 19歳大学生の男性
2人に初めてのサマージョブ体験を伺いました。
30代女性アンナが語る高校時代の病院サマージョブ経験
アンナが初めてサマージョブを経験したのは高校1年生のとき。
勤務先は大学病院の形成外科で、手術で使う医療備品の整理などが担当だったといいます。
職場も仕事内容も特に希望して決まるというものではなかったと思うと、昔のことを思い出して話してくれました。
始めは病院に興味があったわけではありませんでしたが、外科医が手術の様子を見せてくれたり、Fikaの時間に医療の話をしてくれるのが初めての体験で興味深かったと語ります。
アンナは高校卒業後に薬剤実験に使用される動物のケアや処置について学ぶプログラムを専攻したので、もしかしたら彼女の初めてのサマージョブが彼女の進路に少し影響を与えたのかもしれません。
19歳男性の教会サマージョブ体験と学んだこと
現在、スウェーデンの北の街で社会インフラ計画について大学で勉強している19歳の男性は、夏休みに家族と過ごすために地元ウプサラに戻り、家族と暮らしながら、4週間にわたり高齢者施設で認知症ケアスタッフとして働いています。
彼の初めてのサマージョブは教会での警備員という仕事だったそうです。
教会の警備?
と思い仕事内容を聞いてみると、業務は主に教会墓地の清掃や草むしりだったそうです。
さらに時々あるお葬式でのお手伝いや、教会を見てきた観光客の対応など比較的幅広い内容だったようですが、時間に追われることもなく、指導員もずっと一緒にいるわけでもなく、のんびりとした仕事環境だったといいます。
しかし、
学校の職業体験とは異なり、責任ある仕事を任され、給料をもらえる経験はとてもいい経験だった
と語ってくれました。
まとめ|サマージョブが中高生にもたらす成長・進路への影響
初めてのアルバイトは、子どもたちにとって「働くこと」の意味や、社会の中での自分の役割を実感する貴重な一歩です。
こうした経験を子どもたちが安心して積めるよう、スウェーデンでは自治体がしっかりと制度を整え、働く場を提供しています。
年齢に応じた安全な職場を用意していることは、若者にとっても保護者にとっても心強いです。
さらに、サマージョブの経験は、ただの一時的な収入源にとどまらず、その後の進路選択に影響を与えることもあります。
このように、自分の将来について考えるきっかけをくれるのも、サマージョブの大きな魅力のひとつです。
アルバイトを通して、子どもたちは社会の一員としての自覚や責任、協働する力を身につけていきます。
スウェーデンのようにその第一歩を社会全体で支える仕組みがあることは、子どもたちの成長を丁寧に見守る文化のあらわれなのかもしれません。
人生初のアルバイトが、子どもたちにとって楽しく、誇らしい思い出となるよう、周囲の大人も温かく見守っていきたいものです。
次回は、
夏休みの起業体験!スウェーデンの高校生向けビジネス支援プログラム「Rookie Startups」
をテーマにお届けします。お楽しみに!
関連記事
記事をお読み頂きありがとうございました!
みんなの評価: (件)
- 現地レポート
- 北欧の働き方
- 海外キャリア教育
- 海外進路選択
- 夏休みのアルバイト
- 海外インタビュー
- 中学生アルバイト
- 高校生アルバイト
- 海外の子育て
- 北欧教育制度
- ウプサラ市
- 海外アルバイト事情
- 中高生アルバイト
- サマージョブ
- 北欧子育て
- 北欧の教育
- 地域の取り組み
- 夏休みの過ごし方
- 子ども支援
- 北欧の子育て
- スウェーデンの夏休み
- 北欧子育て事情
- スウェーデンの教育
- 北欧の子育て事情
- 海外子連れ移住
- スウェーデン
- スウェーデン子育て事情
- 海外移住
この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
- ウプサラ
2008年からスウェーデン王国、ウプサラで暮らしています。スウェーデン人の夫、3歳の娘の3人家族。森でのベリー摘み、湖での水遊び…日本とはちょっと違った子育てをしつつ、北欧文化を体験する日々です。 母親も外で働くのが当たり前の国での社会のしくみ、女性たちの生き方もお伝えしたいと思います。