【3】GCSE・A Level・Sixth Formとは?英国の学校制度を日本の学年と比較して解説

せいみ(seimi)
Glolea! グローバル子育てアンバサダー

この記事のポイント

  • 英国・イングランドの学校制度を、日本の小学校・中学校・高校の学年感覚と比較して整理
  • GCSE、A Levelといったイギリスの試験の違いを、日本の保護者にもわかりやすく解説
  • 英国の受験制度では、暗記力だけでなく、論述力・分析力・知識を活用する力が重視されると感じた実体験

英国の学校制度と受験制度|ケンブリッジ教育移住で知ったGCSE・A Level・Year制の違い

こんにちは! Glolea![グローリア] 英国教育移住アンバサダーのせいみです。

 

英国への教育移住をご検討される際、多くの方が戸惑うポイントは、

  • 学校制度
  • 受験制度

の違いではないでしょうか。

 

日本では、小学校・中学校・高校、そして高校受験・大学受験という流れをイメージする方が多いと思います。

 

一方で、イングランドではYear制で学年が分かれ、16歳頃にGCSEを受験し、その後は高校後半にあたるSixth FormでA Levelを学ぶなど、日本とは異なる仕組みがあります。

英国のYear 11(セカンダリースクール最終学年)の生徒たちがGCSE終了後に着るサイン入りのLeaversシャツ

▲Year 11(最終学年)の生徒たち。GCSE終了後は、友人同士で制服のシャツにサインを書き合う「Leaversシャツ」が英国の恒例行事です。この写真の中に長女もいます。

 

今回は、日本で子育てをしてきた親の視点から、英国の学校制度と受験制度をできるだけわかりやすく整理してみたいと思います。

※英国は地域によって教育制度が異なります。この記事では、我が家が暮らすケンブリッジのあるイングランドの学校制度を中心にご紹介します。

執筆者|せいみ(seimi)

英国ケンブリッジ在住。16歳長女、12歳長男、7歳次女の3児の母。ベンチャーキャピタルやコンサルティング会社等で企業成長支援に従事したのち、家族での対話を重ね、日本での中学受験・進路選択を経て英国へ教育移住。発達特性のある子どもたちやASD特性のあるパートナーとの暮らしを通じた家族コミュニケーションの実践とともに、現地でのリアルな教育・学校制度・子育ての体験を発信中。


日本とイングランドの学年はどう違う?

まず、日本の小学校・中学校・高校にあたる時期と、イングランドのYear制を大まかに整理すると、次のようになります。

日本とイングランドの学年・年齢対照表(Year 1〜Year 13)
イングランドの学校段階 Year 年齢の目安 日本でいうと 主な位置づけ
Reception Reception 4〜5歳 幼稚園・保育園の年中〜年長頃 小学校準備に近い時期
Primary School
プライマリースクール
Year 1〜Year 6 5〜11歳 幼稚園年長〜小学校5年生頃 日本の小学校に近い段階
Secondary School
セカンダリースクール前半
Year 7〜Year 9 11〜14歳 小学校6年生〜中学校2年生頃 日本の中学校に近い段階
Secondary School
セカンダリースクール後半
Year 10〜Year 11 14〜16歳 中学校3年生〜高校1年生頃 GCSEに向けて学ぶ時期
Sixth Form
シックスフォーム
Year 12〜Year 13 16〜18歳 高校2年生〜高校3年生頃 A Levelなど大学進学に向けた時期

※イングランドと日本では学年の区切り月が異なるため、日本の学年との対応はあくまで目安です。

プライマリー、セカンダリー、シックスフォームとは?

英国の学校制度を理解するうえで、まず知っておきたいのが、プライマリースクール、セカンダリースクール、シックスフォームという区分です。

プライマリースクールは日本の小学校に近い

プライマリースクールは、日本でいう小学校に近い段階です。

 

Year 1からYear 6までが基本で、Year 1は5〜6歳の子どもが通います。

セカンダリースクールは11〜12歳頃から始まる

英国セカンダリースクールYear 7(中等教育1年目)の生徒が実際に使用しているKS3・GCSE対策の参考書・問題集

▲GCSEに向けた学習のイメージとして、息子(Year 7)が実際に使用している参考書の写真。英国のセカンダリースクールでは、11〜12歳頃から将来の資格試験(GCSE)を見据えた段階的な学習が始まります。

セカンダリースクールは、日本でいう中学校から高校1年生頃までにあたります。

 

ただし、イングランドではYear 7からセカンダリースクールが始まり、11〜12歳頃に進学します。

 

日本よりも早い段階で学校環境が変わるため、親としてはこの違いにまず驚きました。

シックスフォームは試験ではなく、16〜18歳頃の進学準備課程

16歳以降、大学進学を目指す生徒の多くは、シックスフォーム(Sixth Form)と呼ばれる課程に進みます。

 

シックスフォームは試験の名前ではなく、日本でいう高校後半に近い時期に、大学進学や将来の進路に向けて科目を選んで学ぶ課程です。

 

そこで学ぶ代表的な資格試験が、A Levelです。

 

A Levelは日本の大学入学共通テストと同じものではありませんが、高校後半で専門的に学んだ科目の成績が、大学出願の重要な判断材料になる仕組みに近いといえます。

公立校・私立校・グラマースクールの違い

学校には公立校と私立校がありますが、英国にはGrammar School(グラマースクール)と呼ばれる選抜制の公立校もあります。

 

グラマースクールは公立校でありながら、学力選抜を行う学校です。

 

グラマースクールや私立校に進学するためには入学試験が必要で、学校によっては筆記試験だけでなくインタビューが行われることもあります。

 

一方で、一般的な公立校は居住エリアなどによって入学先が決まることが多く、学校選びでは通学区域や学校の評価、実際の雰囲気などを確認することが大切になります。

GCSEとは?16歳頃に受ける中等教育の区切りとなる試験

英国のGCSE対策に向けた保護者・生徒・教員による個別面談(親子面談)の様子

▲GCSE対策の親子面談の様子。科目ごとに担当教員と面談を行い、学習状況や対策、今後の学習方針について話し合います。日本の三者面談に近いですが、全教科の先生と個別に面談するのが特徴です。

英国では16歳頃にGCSEという試験を受けます。

 

GCSEは、正式にはGeneral Certificate of Secondary Educationといい、日本語では「英国の中等教育修了資格」と説明されることが多い試験です。

 

日本の高校受験や大学受験とまったく同じものではなく、イメージとしては、中等教育の終わりに受ける大きな資格試験に近いものです。

 

生徒は通常8〜10科目程度を選択し、Year 10から準備を進め、Year 11の5〜6月頃に約1か月かけて試験を受けます。

 

GCSEの成績は1〜9の9段階評価で示され、9が最高評価です。

GCSEを簡単にいうと

  • 16歳頃に受ける、中等教育の区切りとなる試験
  • 通常8〜10科目程度を選択して受験する
  • 成績は1〜9で評価され、9が最高評価
  • その後のSixth FormやA Level科目選択に関わることがある

GCSEの成績が16歳以降の進路につながる

英国のGCSE本番に向けて実施されるMock(模擬試験)の1週間タイムスケジュール・時間割

▲GCSE本番前に実施されるMock(模擬試験)の時間割。約1週間にわたり、本番同様のスケジュールで試験が行われます。

GCSEが大切なのは、その成績が16歳以降の進路に関わってくるからです。

 

大学進学を目指す場合、多くの生徒はGCSEの後、シックスフォームなどに進み、A Levelに向けて科目を選んで学びます。

 

ただし、A Levelでは誰でも自由に好きな科目を選べるわけではなく、希望する科目を履修するために、GCSEで一定以上の成績が求められることがあります。

 

例えば、人気の高い公立シックスフォームでは、A Levelで数学や物理を学ぶために、GCSEの数学や物理で「8以上」の成績が求められることもあります。

 

GCSEは9が最高評価なので、「8以上」はかなり高い成績を意味します。

 

つまりGCSEは、単に「試験を受けて終わり」ではなく、その後にどの科目を深く学ぶか、どの進路に進みやすくなるかを左右する大切な節目です。

 

さらに英国では、GCSEの成績は大学進学だけでなく、その後の就職や転職でも求められることがあります。

 

実際に私が調べた企業の採用要件でも、

GCSEで一定以上の成績を取得していること

を応募条件としているケースがありました。

 

コンサルティングや財務などの専門職では特にその傾向が見られ、大学受験だけでなく、その先のキャリアにもつながる重要な試験だと感じています。

 

一方で印象的だったのは、「一度の試験で人生が決まる」という考え方ではないことです。例えば、希望するA Level科目を履修するために必要なGCSEの成績に届かなかった場合でも、Sixth FormでGCSEを再受験し、もう一度チャレンジできるケースがあります。

 

もちろん学校によって運用は異なりますが、「努力次第でもう一度挑戦する機会がある」という仕組みには、とても英国らしさを感じました。

A Levelとは?大学進学に向けて専門科目を深く学ぶ試験

A Levelは、Sixth Formなどで16〜18歳頃に学ぶ、英国の大学進学において最も重要な資格試験の一つです。

 

日本の高校のように幅広い科目をまんべんなく学ぶのではなく、将来の進路に合わせて3〜4科目程度を選択し、その分野を専門的に学びます。

 

例えば、理系分野を目指す生徒は

  • 数学
  • 物理
  • 化学

を。

 

文系分野を目指す生徒は

  • 英文学
  • 歴史
  • 政治

などを選択することがあります。

 

そして、2年間学んだ内容をもとに受験するA Levelの成績が、大学出願の重要な判断材料となります。

 

そのため、GCSEの段階で得意科目を伸ばし、Sixth FormでどのA Level科目を選択するかが、その後の大学進学や将来の進路にも大きく影響します。

 

実際に我が家でも、大学で理系分野へ進学したいという長女は、A Levelで数学、Further Mathematics(高等数学)、物理、Computer Scienceを選択する予定です。

 

将来の進路を見据えて必要な科目を選ぶため、日本よりも早い段階から進路について考える機会が多いと感じています。

日本の受験制度との違い

英国教育移住に向けた日本出国日、羽田空港で長女のクラスメイトたちが見送りに駆けつけてくれた感動の日の様子

▲日本出国の日。長女のクラスメイトが空港まで見送りに来てくれました。別れを惜しみながら、新しい生活への一歩を踏み出した忘れられない一日です。

受験の仕組みも、日本とは大きく異なります。

 

日本では、「高校受験」「大学受験」のように、志望校に合格するための入学試験をイメージする方が多いと思います。

 

一方、英国では16歳頃に受験するGCSEの成績が、その後どのSixth Formへ進学できるか、さらにどのA Level科目を選択できるかにも影響します。

 

そのため、GCSEは大学進学に向けた重要な土台となる試験だと感じています。

音楽・美術・体育・演劇も評価対象になる

もう一つ、日本との大きな違いだと感じたのが、評価される教科の幅広さです。

 

日本では受験科目が主要教科中心になることが多い一方、GCSEでは

  • 音楽
  • 美術
  • 体育
  • 演劇

なども正式な選択科目として評価されます。

 

そのため、子ども一人ひとりの得意分野や興味に応じて科目を選択し、自分らしい進路を考えられる仕組みになっています。

 

私は、このように「苦手を克服すること」だけでなく、「得意を伸ばし、それを将来につなげる」という考え方が、英国教育の大きな特徴だと感じています。

暗記力より、論述力や分析力が重視される

また試験では暗記力だけでなく、自分の考えを説明する論述力や分析力が重視される傾向があります。

 

例えば数学の計算問題では計算機の使用が認められており、公式が問題用紙に記載されていることも珍しくありません。

 

さらに、計算結果が多少間違っていても、考え方や解法のプロセスが正しければ部分点が与えられます。

「何を覚えているか」だけでなく、「知識をどう活用するか」が評価される仕組みになっているのです。

近年はAIが台頭しており、これからの時代は単なる知識量よりも思考力や問題解決力が重要になると感じています。

 

そのため、このような試験制度はとても合理的だと感じています。

英国教育移住前に知っておきたいこと

英国の学校制度や受験制度は、日本の感覚だけで理解しようとすると少し複雑に感じるかもしれません。

 

ただ、全体の流れとしては、まず次の3つを押さえておくと理解しやすくなります。

 

まず押さえたい3つのポイント

  1. 11〜12歳頃:セカンダリースクールへ進む
  2. 16歳頃:GCSEを受け、16歳以降の進路につながる
  3. 16〜18歳頃:シックスフォームなどでA Level科目を深く学び、大学出願へ進む

日本と同じように「中学校」「高校」「大学受験」と置き換えようとするとわかりにくい部分もあります。

 

むしろ、英国では早い段階から、子ども自身の得意分野や将来の進路に合わせて科目を選び、深めていく仕組みがあると考えると理解しやすいと感じています。

おわりに

 

英国の学校制度や受験制度は、日本とは大きく異なります。

 

特に、セカンダリースクールでのGCSE、Sixth FormでのA Levelという流れは、日本の教育制度にはそのまま対応するものがないため、最初は少し戸惑いました。

 

ただ実際に子どもたちの学校生活を見ていると、早い段階から自分の興味や得意分野を意識し、将来の進路に向けて科目を選んでいく仕組みには、合理的な面もあると感じています。

 

日本にも英国にもそれぞれの良さがありますが、教育移住を考える際には、こうした制度の違いを事前に理解しておくことが大切だと思います。

よくある質問|英国の学校制度と受験制度(GCSE / A Level)

Q. イングランドのYear制と日本の学年対応はどうなっていますか?

A. イギリス(イングランド)は5歳から義務教育(Year 1)が始まるため、日本の学年より数字が1つ大きくなります。Primary SchoolはYear 1〜Year 6(5〜11歳)で、日本の幼稚園年長〜小学5年生頃に相当します。

Q. セカンダリースクール(中等学校)は何歳から始まりますか?

A. 11歳(Year 7)から始まります。日本の中学1年生にあたる年齢で、小学校(Primary School)から中等教育へ移行します。

Q. GCSEとはどのような試験ですか?成績はどのように評価されますか?

A. GCSEは16歳(Year 11修了時)に受験する全国統一の中等教育修了資格試験です。通常8〜10科目を受験し、成績は最高評価の9から1までの9段階で評価されます。

Q. A LevelとGCSEの違いは何ですか?

A. GCSEは中等教育の締めくくりとして幅広い科目を修了するための資格試験です。一方、A LevelはSixth Form(16〜18歳)の2年間で将来の進路・大学出願に合わせて3〜4科目を深く専門的に学ぶ高等資格試験です。

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3児の母。大学卒業と同時に第一子を出産し、子育てとキャリアの両立に邁進してきた。 企業成長支援、インパクト投資、ESG分野での経験を持つ。発達特性のある子どもたちやASD特性のあるパートナーとの暮らし、英国への教育移住を通して、多様な家族のあり方やグローバル子育てについて考え、現在は家族のコミュニケーションを支援するAI開発に取り組んでいる。

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