スウェーデンの子どもたちは夏休みに起業スキルを学んでいる!?96%が成長を実感したスウェーデン最大級の高校生向け起業家育成プログラム

長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー

北欧スウェーデンの高校生は、夏休みに自治体と連携した「Rookie Startups(ルーキー・スタートアップス/RS)」で“起業体験”プログラムに参加できます。参加費は無料、支援金は2,000クローナ。プロのコーチが伴走する3〜4週間で、課題発見から企画・販売、最終ピッチまでを一気通貫で実践します。本記事では、スウェーデン最大級の高校生向け起業家育成プログラムの仕組みと効果などを詳しく解説していきます。夏休み中の高校生の“起業体験”。約96%が「自分の成長を実感できた」。95%が「友人に推薦したい」と評価するこのプログラムの魅力をスウェーデンで子育て中の保護者の視点から紹介します。

こんにちは! スウェーデン女王認定 認知症専門看護師/Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー長谷川佑子です。

夏休みを利用したスウェーデンの高校生向け無料の起業家養成プログラムを利用中の子どもたち

スウェーデンでは、夏休みを利用して高校生が「起業」に挑戦できるユニークな制度があります。

 

市町村は「Rookie Startups(ルーキー・スタートアップス/RS)」という高校生向けプログラムと連携し、ビジネスを立ち上げたい若者に

  • 学びの場
  • 資金

を提供しています。

 

延べ1万人以上が参加してきた本プログラムは、スウェーデン最大級の高校生向け起業家育成プログラムとして、現在は全国で展開されています。

用語解説
Startup(スタートアップ)とは?

意味:革新的なビジネスモデルを基盤に、短期間での急成長を目指す組織や企業のこと言う。

夏休みに起業体験!スウェーデンの高校生向けプログラム「Rookie Startups(ルーキー・スタートアップス/RS)」とは

スウェーデン最大規模・全国展開/参加費無料・支援金は2,000クローナ!

参加費無料の高校生向け起業家養成プログラムに参加中の高校生

この取り組みは、前回の記事でご紹介した「サマージョブ(夏の短期アルバイト)」の一環として行われ、参加費は不要

 

3週間の事業立ち上げ期間に対し、2,000クローナ(=約28,000円)のスタート支援金が支給されます!

※上記日本円は1スウェーデンクローナ=14.2円、2025年8月のレートで概算。

年間参加者数千人!
15〜18歳の個人やチームが対象のスウェーデン最大規模の若者起業支援プログラム「Rookie Startups(ルーキースタートアップス/RS)」

スウェーデン最大規模の若者起業支援プログラムに参加中の高校生

Rookie Startupsは、15〜18歳を中心に、年間数千人が参加する夏休み期間に実施されるスウェーデン最大規模の若者起業支援プログラムです。

 

夏休み期間を活用し、「ソーシャル・ビジネス」や「起業活動」を通じて、自らの可能性を広げられる機会と場の支援が提供されています。

参加者の満足度と評価

プログラム参加者のうち、約96%が「自分の成長を実感できた」と回答。


さらに95%が「友人に推薦したい」と評価しています。

 

満足度の高さが、このプログラムの質を物語っています。

プロのコーチが伴走する!
代表的プログラム「Rookie Startups Summer Entrepreneur(RSサマーアントレプレナー)」の流れ

Rookie Startups Summer Entrepreneurに参加中の高校生とコーチ

Rookie Startupsを代表するプログラムのひとつに、「Rookie Startups Summer Entrepreneur(ルーキー・スタートアップス・サマー・アントレプレナー。以下、RSサマー・アントレプレナー)」があります。

用語解説
Entrepreneur(アントレプレナー)とは?

意味:起業家。自分のアイデアで新しい商品・サービスを作り、ビジネスとして形にする人。

ウプサラ市などスウェーデンの各地で開催され、若者が約4週間かけて自らのビジネスを企画・運営し、成果を出す体験ができます。

 

もちろん、起業経験や特別なアイデアがなくても応募可能で、個人でも友人と一緒でも参加できます。

 

プログラムは6月中旬からスタートし、3~4週間の日程で実施されます。

 

参加者には約2,000クローナのスタート資金が提供され(これはそのまま手元に残る支援金です)、日々プロのコーチがついて、アイデアの策定から集客、経営までを伴走してくれます! 

 

共同でチームを組むことで仲間と刺激し合いながら進められるのも魅力です。以下はプログラムのスケジュールです。

3週間にわたる「RSサマーアントレプレナー」の期間&スケジュールイメージ

3週間にわたる「RS Summer Entrepreneur」のスケジュールイメージ

1週目(キックオフウィーク)|基礎・マーケ・サステナビリティ

  • 起業の基礎
  • マーケティング
  • 経営
  • 持続可能性

などのテーマに沿った講義やワークショップを実施。

 

チームビルディングを通じて仲間との協力関係も築きます。

2〜3週目(起業週)|企画→販売・検証(コーチ伴走)

選んだアイデアを実際のビジネスとして形にしていく期間です。

 

日々、プロの担当コーチのもとでビジネスを企画・運営し、成果を出す体験のプロセスが進められます。

最終週(Draknästet/ドラクネステット)|投資家ピッチ・表彰

投資家や起業家の審査員に向けてプレゼンテーションを行い、評価を受けます。

 

優秀なチームには「Årets RS företag(今年のRookie Startups最優秀企業)」のタイトルや、追加資金として数千クローナの賞金が授与されます。

参加者累計1万人以上の「RSサマーアントレプレナー」過去の成功事例と成果

手作りキャンドル販売で成功した高校生チーム

参加者累計1万人以上の「RS Summer Entrepreneur」で起業に成功した高校生の様子

Rookie Startupsは、2008年に北欧で最も古い大学のある街ウプサラで創業され、現在は全国で展開されています。

 

起業経験を学ぶ場として成長し、これまでに1万人以上の若者がプログラムに参加してきました。

 

例えば、過去の参加者の中には仲間と協力してフィンランドから輸入した手作りキャンドルを販売する小さなビジネスを立ち上げ成功を収めた高校生チームもいます。

 

別の事例では、サステナブルな文具アイテムをテーマに、地域の市場で実際に売上をあげながら起業の基本を学んだグループもあります。

参考事例:1ヶ月で12,000クローナを売り上げるサービスをゼロ立ち上げた高校生の「窓ふき起業」

1ヶ月で12,000クローナを売り上げるサービスを立ち上げた高校生の「窓ふき起業」

「RSサマーアントレプレナー」とは別で行われている、スウェーデンの若者向け起業教育プラットフォーム 「UngDrive」でも成果が出ています。

 

ストックホルムの高校生イブラヒム・ファラー(17)は、昨年UngDriveに参加したことをきっかけに今年は自ら窓ふきサービスを立ち上げ、地域のFacebookグループで告知して依頼が殺到

 

6月は予約が埋まり、約1か月で12,000クローナ(約17万円)を売り上げました。技術はYouTubeで学んだというイブラヒム。

働く時間と仕事量を自分で選べる自由さも魅力

だと言います。

 

例えば、2025年は欧州景気の鈍化で企業のサマージョブ募集が減り、未経験の高校生には就労機会が狭まりがち。年齢層や景気に左右されにくいこうしたこうした“自分でつくる夏の仕事”は、収入と同時に実践的スキルを獲得でき、将来の賃金向上にもつながり得ることを示す研究報告もあります。

 

私には、社会の変化を読みながら「できること」を考え、組み立てていくスウェーデンの若者の姿が、まさに“生きる力”=たくましさとして映り、いつも驚かされています。

Rookie Startupsがもたらす成長とキャリアへの好影響

Rookie Startupsがもたらす成長とキャリアへの好影響

このような体験によって、彼らは単なる「夏休みの仕事」以上の実践的スキルと自己成長や自信を身につけることができます

 

参加者からは、

想像以上に学びが多く、自分を再発見できた

といった声も寄せられています。

 

RookieStartupsプログラムやUngDriveが提供する機会は、若者が主体的に学び、実践し、起業や社会活動を通して自分らしさを発揮できる機会を提供する優れた機会です。

 

特に起業に興味がある、あるいは将来のキャリアの選択肢を広げたいという学生にとって、魅力的なプログラムであると言えるでしょう。

まとめ|夏休みの「起業体験」が与える学び

夏休みの起業体験プログラムに参加した高校生が自己成長や成功を感じている様子

最近では、若者自身がビジネスを立ち上げるという選択肢も広がってきています。

 

「起業」という新しい挑戦に大人のサポートを受けながら、自ら考え、行動し、成果を出す夏休みの体験は、何よりも大きな学びとなるでしょう。

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スウェーデン子育て事情

 

記事をお読み頂きありがとうございました!

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長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
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ウプサラ

2008年からスウェーデン王国、ウプサラで暮らしています。スウェーデン人の夫、3歳の娘の3人家族。森でのベリー摘み、湖での水遊び…日本とはちょっと違った子育てをしつつ、北欧文化を体験する日々です。 母親も外で働くのが当たり前の国での社会のしくみ、女性たちの生き方もお伝えしたいと思います。

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